明日はもうすこしマシにします

日記のブログです。ヤフーブログから引っ越したので過去記事には不具合があるかも(2019年10月)。見たり読んだりししたものや考えたりしたことを忘れないうちにメモっておこうというもの。ヤクルトファン。

世田谷美術館のピーターラビット展へ行った

世田谷美術館 ピーターラビット

世田谷美術館ピーターラビット展へ行った。

www.setagayaartmuseum.or.jp

展示内容は『ピーターラビット』原画や貴重な私家版、初版本、日本にはじめて掲載された明治39年のピーターうさぎ(農業関連の雑誌に翻訳されて掲載された/当然無許可)など。

 

さらにフォトスポットとして⇑の写真なども。

5年前、ベアトリクス・ポターの生誕150周年で類似のピーターラビット展が行われて東京富士美術館へ行ったことを思い出した。

www.fujibi.or.jp

さまざま貴重な原画が展示されていたものの見るのが2回めというのも多く、5年前ほどの衝撃はなかったかな。

 

あと、上の写真にあるピーターのぬいぐるみが不出来だった。

とくにマクレガーさんの人参をかじるピーター。

この元絵のすばらしいところは、いかにもピーターが首を上げながらいかにもニンジンを美味しそうに目を細めるところなのに、その表情がまっっっっっっったく再現されていない。

 

さらに疑問なのは原作からかけ離れた内容にして、とくに原作ファンから非難の声が上がった映画『ピーターラビット』を動画付きで展示していたこと。

あんなもの展示するべきでない。

 

よかったところは、東京富士美術館での展示でもあったかもしれないけど、ピーターラビットのすごろくゲームが展示されていたり、物販では、ピーターラビット×鳥獣戯画のコラボアイテムの少ないながらも販売していたこと。

ピーターラビット鳥獣戯画は動物を擬人化してコミカルに描き、意外なほど動物の骨格やディテールにリアリティがあるという点で共通している。

ベアトリクス・ポターが鳥獣戯画に影響を受けたという証拠はないけど、もし見たらとても喜んだんじゃないかな。

 

ベアトリクス・ポターのおもしろいところというのは、動物をキャラクター化して絵本を底本としてグッズを多く販売し財を得たというところにあるけど、その使い道が湖水地方の美しい風景・故郷を保存することであったり、活動は活発に商業的ながらその用途は資本主義的ではなく自然保護主義にあったところだ。

その動物を描く際もキャラクターとして描くというより描写はリアルで観察の上に成り立っている。

(これは東京富士美術館で見た逸話だと思うけど)子供の頃、コウモリだかなんだか動物の骨格を調べるために死骸を似て標本を作ったという話だ。

「動物かわいい」という気持ちが強いのはあるんだけど、それを猫かわいがりするというよりも、好きすぎて行き過ぎてるレベルに動物好きなところがいいところだ。

かわいげのある絵本を作ったというメルヘン作家的に見られたり、そりゃもう封建的な19世紀のイギリスにおいて女性作家として身を立てて財を成したというところもフィーチャーされがちだけど、ベアトリクス・ポターの本質は“ちょっとどうかしてる人”というか動物好きが昂じて、好きすぎて突き抜けている人というところにおもしろさがある。

 

で、

そういうところを無視して「はいはいウサギかわいいよね、よかったね」という温度感で展示を作ったりすると、本質を掴まない上滑りなものになる。なっていたのではないか。

そう思わせられる不出来なぬいぐるみだった。

おざなりなフォトスポットには、ウサギを見つめるポターのまなざしが活きていないもの。

 

図録(2600円もしたので買わなかった)見本に書いてあった解説で「鳥獣戯画は月(だからうさぎがいる)であり黄泉の国を描いているのかもしれない」という意見はちょっとおもしろい。

さらに牽強付会というかこじつけであるという気がとてもするけど、「これは死んだ幼児を慰めるために作られたもので、だから内容は動物であり滑稽であるのだ。そして死んだ幼児というのは安徳天皇のことだ」という意見もおもしろかった。であれば確かに寺に奉納されているのにも筋が通る。

 

展示はともかく相変わらず物販で1万円くらい買ってしまった。

白眉だったのは先の鳥獣戯画とのコラボアイテムと、日本ならでは感の強い、ピーターラビット型のある“和三盆”。

これは世界的にもレア。

2個買った(1個1000円)。

1箱1000円の和三盆を2個買うのに2600円の図録を買わないのかよ! と自分でも思わないではなかったけど、図録は前の東京富士美術館で買ったんだよな……

で、新規作品もないから(あたりまえ)図録の内容ってそりゃかぶるよな……

いや逆に、だからこそ買って見比べるという楽しみかたもあったな……

(ちょっとだけ改めて前回の図録見てみたらジェレミー・フィッシャーどんがマスに丸呑みされかかってる絵とかポターが羊の品種改良で表彰されていたときのものとかも展示されていたようなので、やはり今回のものより豊富な内容でおもしろかったと思う)

図録通販もあるみたいだからやっぱり買っちゃおうかな……買うか……。

 

あとまあ、けっきょく原画というのは、その後出版されているわけなので、図録を買うならじゃあ絵本買えば? というので事足りるといえば事足りるのだった。

1980円なら買ってたな……

いくらフルカラーとはいえ2600円はちょっとな……

しかしいま思えば買っちゃってもよかったよな……

ピーターのスタンプで「悪」と一文字書かれた全く使い道のないスタンプ(964円)買うくらいなら……

でもかわいいピーターに「悪」って書いてあるだけのスタンプ絶対おもしろいよな……

(「いいね」とか「ありがとう」みたいなスタンプシリーズで「良」と「悪」というパターンもあった)

でも、使い道ないよな……買ったけど……。

それにしても入場料1600円で物販で1万円使っちゃっうんだから、ピーターラビット展は美術館にとってドル箱企画だなあ。

 

また5年後くらいにピーターラビット展あったら行きたい