明日はもうすこしマシにします

日記のブログです。ヤフーブログから引っ越したので過去記事には不具合があるかも(2019年10月)。見たり読んだりししたものや考えたりしたことを忘れないうちにメモっておこうというもの。ヤクルトファン。

『うたわれるもの 二人の白皇』クリアー!したので感想

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PS4PS3、PS Vitaで発売になった『うたわれるもの 二人の白皇』をクリアしました。いやー、長かった!w
せっかく50時間くらいかけてクリアしたので、その感想をまとめておきます。

< うたわれるもの二人の白皇 - アクアプラス >

まぁ、こんな題のブログ記事を覗く人は、『うたわれるもの』シリーズのファンないし、ゲームをプレイした方ばかりとは思いますが、必然的に、ゲームのネタバレが含まれると思うので、そこはひとつ自己責任でよしなにお願いします。

いまは、長い時代小説を読み終えたような気持ちです。
主人公のハクと、ヒロインのクオン、そして『うたわれるもの』初代作品の主人公であるハクオロの、長大な物語に、いま決着がついたのだと思うと、変な話ですが、肩の荷が下りたような、「ああ、この物語が終わってしまうのだな」という、長いため息をつきたくなるような深い感動というか、感慨。

長い物語、と書きましたが、実際長かったのです。
本作は、『うたわれるもの 偽りの仮面』に連なる続編で、ストーリーとしても、前編後編の後編にあたる部分ですから、『偽りの仮面』のプレイ時間を30時間程度としても、合わせて80時間分の物語に決着を見た、ということになりますから。そして初代の『うたわれるもの』(僕はPSP版をPS VITAで遊びました)がおそらくプレイ時間20時間ほどなので、ひっくるめて、100時間くらいのゲームをやりつくしたという状態。

長いRPGをクリアーしたときの「あぁ……」という、たまらない満足感と充足感、そして少しの倦怠感や寂しさ、そういう感情が混ざった状態というのは、ゲーマーならきっとご存知のはずです。そういう、長いゲームを最後までじっくり遊んだなぁという感慨を、久しぶりに味わった作品になりました。

そういう感慨に至ることができた理由というのを、おもにゲームとしてのできの良さ、テキストADVゲームとしての完成度の高さという点などから、少し振り返ってみます。

ゲームとしては(もともと一番最初にPCで発売された『うたわれるもの』はアダルトゲームだったということもあり)、テキストを読むだけのアドベンチャーパートと、『ファイアーエムブレム』のようなシミュレーションRPGパートを繰り返して進行していくという、この手のゲームとしてはオーソドックスな作りです。

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それでも戦闘シーンには、「連撃」という、タイミング入力で攻撃がクリティカルになる要素や、「挟撃」や「必殺」、それを組み合わせた「挟撃必殺」という戦闘が盛り上がる要素があり、戦闘パートは退屈せずに楽しめます。戦闘自体の難度も高くなく、巻き戻し機能や、全滅しても経験値を得た状態で戦闘前からやり直せる機能などが充実していて、シミュレーションRPGに慣れていない人でも楽しめるようになっている点は、作りの丁寧さを感じさせます。

逆に、テキストを読むアドベンチャーパートは、正直に言って、ときには退屈に感じる部分もありましたが、キャラクターを演じる声優陣は、主人公のハク(オシュトル)を演じる藤原啓治さん(クレヨンしんちゃん』のひろしだよ!)を筆頭に、男性声優では櫻井孝宏江口拓也や、女性声優は種田梨沙、赤﨑千夏、加隈亜衣早見沙織といった、当世の人気声優を上から順に並べたような豪華スタッフとなっています。

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実力のあるベテランを主人公に、濃密で骨太なストーリーが展開していき、プレイ当初はスキップしがちだった音声も、次第に聞くようになっていきました。テキストに声がついていて、より情感豊かに物語を味わえるというのは、ゲーム以外には実は少ないのではないかと思います。

ストーリーは、大国ヤマトを中心として、初代作品の舞台だったトゥスクルや、その他クジュウリといった国と国との戦を描く、ファンタジー大河というか、架空戦記というか、コメディー部分が多くて楽しい部分も多いですが、読み味としてはライトノベルよりも少し年齢層が高めの、ノベルスの雰囲気を感じます。(田中芳樹的というかね…)

主人公のハクがひょんなことからヤマトの軍師的ポジションを得て、気づけば国対国の戦争に巻き込まれ、そして親友であるオシュトルの後を継ぐ形で、物語の核心でもある“仮面(アクルトゥルカ)”を身につける……(『偽りの仮面』)。

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権力を集中にせんと国家転覆を狙う八柱将(大臣みたいなもん)、自らの力だけを信じる世紀末覇者みたいな漢、暗殺されかけて声を失い隣国に亡命する姫殿下……というように、ストーリーの本筋は、『アルスラーン戦記』的な、架空の国を舞台とした、大河ドラマもかくや、という内容なのです。

そのストーリーを支える設定も、実に細かく配置され、国の経済規模や食糧事情、そこから発生する食文化、また、ストーリーにも大きく関わる宗教といった、世界観を構築するものが微に入り細を穿ち、生半可ではありません。そうして細かく作り込まれた国と国との戦い。その細かな設定が、ファンタジー世界にリアリティを生んでいます。

文明レベルとしては日本でいう室町時代程度の世界…と思わせて、突如あらわになるSF設定。実はSFだったのだ! とわかったときの驚きは、目を剥きました(『偽りの仮面』プレイ時)。

そして物語を彩るキャラクターは、いわゆる美少女キャラクターが大勢いて、ここがこう、「『うたわれるもの』めっちゃおもしれーよ!」と声高に叫ぶには抵抗がある部分でもあるのですが、もともとがR18ゲームであるという出自を考えても、これは、欠点ではなく、このゲームシリーズのいい特徴であるというふうにとらえたい。

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前向きに捉えると、このゲームで描かれているキャラクターの持つ「萌え力(もえぢから)」は、もともとが「萌え」を専門に作ってきた職人集団によるものであり、その「萌え」は高品質なものが用意されているということでしょう。

高級ブランドのエルメスが、もともとは馬具を作っていた馬具職人のメーカーだったからこそ、革の扱いに長けていて、今でもいい革製品を作ることができる……というように、アクアプラス作品は、その出自を(アダルト)ADVに持つからこそ、萌えるキャラクターを生み出すことについて、信頼が置ける。それはメーカーの根っこであり、芯になっている部分だから。

だからこそ、登場するキャラクターは、みんな個性豊かで、ストーリーの合間合間に挟まれるコメディーパートは、ついクスリとしてしまうような楽しさに満ちています。そして前述の通り、そのキャラクターたちには人気声優がフルボイスで声を当てていて、スキがない。

つまり、骨太なストーリーと個性的なキャラクターの融合にこそ『うたわれるもの』シリーズの魅力であって、「萌え」と「燃え」の入り組んだ物語、キャラクターたちが演じる大河ロマンは、本作のことを「キャラクター大河」と呼びたいくらいです。現在遊べるこのタイプのゲームで、最高峰の完成度であるといってもいいかもしれません。

とくに、今作のクライマックス、ラストバトルの盛り上がりは、シリーズ作品をプレイしていたのでひとしおでした。もうほとんど半泣きになりながらラスボスをぶん殴り続けましたよ…ボスの音楽がまた良くて…。

長い物語に、自分の手で決着をつける興奮と寂しさ。

ひょっとすると、ゲームを遊ぶ醍醐味というのは、これそのものなのかもしれません。その醍醐味を十二分に味わえる、いいゲームでした。

以上、だいたいの感想おわり。


以下、余談という名の蛇足。

個人的にはキウルがお気に入りです。強いしかわいいし。あとラストバトルの必殺時の「あなたはみんなの憧れでした~」的なセリフを聞くとキウ×クオというのもありなのではないかと…。とにかくラストバトルの必殺演出はみんな燃える!女キャラではノスリかなー。アホかわいいし、脱ぎっぷりが良かった(笑)。

あと、現今ある、このタイプのゲームとしては、出ている声優も豪華ですし、物語は骨太で盛り上がり、楽しく、そして燃える!のですが、「もう一声!」と言いたい部分では、ゲームとしての新しさ、というものがもうひとつなにかあれば…という思いはあります。それは、システムでもグラフィックでもなんでもいいんですが、なにかひとつだけでもいいので、新しいアイディアというものがあれば、よかったなぁと。思いました。まる。