明日はもうすこしマシにします

日記のブログです。ヤフーブログから引っ越したので過去記事には不具合があるかも(2019年10月)。見たり読んだりししたものや考えたりしたことを忘れないうちにメモっておこうというもの。ヤクルトファン。

硫黄等の砂

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映画『硫黄等の砂 SANDS OF IWO JIMA』を観た。

英題のとおりに打つと「いを島」になるわけだが。
イウォー島。

「ラストの星条旗がすり鉢山に翻るシーンは映画史に残るデキ」というレンタル店のポップに魅かれて借りてみた。
第二次大戦時の戦意高揚映画?と思って観てみたら、なんかそうでもなかった。
1949年にアメリカ公開で、戦争終わってちょっとした後の映画だった。

ハイロウズの『アメリカダマシイ』という曲の中に

ジョン・ウェイン気取りで~ やってやってやりまくれ~♪

という歌詞があるんだけれども、そのジョンウェインが主演だった。
ジョンウェインの映画って観たの初めてかも。
調べたところによると、この映画でジョン・ウェインはオスカー主演男優賞を受賞してるそうな。

さらにカリフォルニア州には「ジョン・ウェイン空港」なるものまであるそうな。
なかなかやるなジョン。
日本人の感覚で言えば「高倉健空港」とかそういうノリだ。



古い映画で画面は白黒だし画像粗いしで、ほとんど顔の見分けがつかないような状況だったけど
なんだかんだで楽しめたのは
わかりやすいストーリーと個性的なキャラクターと恋愛だの友情だの兄弟愛だのさまざまな要素をおしげも無く詰め込んであるから。

アメリカ映画ってそういうところがいいね。


太平洋での地上戦で最大の戦いだといわれる硫黄島の戦いの映画でありながら、
戦闘シーンは思ったほど多くない。
けれども、実際のフィルム(恐らく米軍の記録した物)の映像がところどころでふんだんに使われていて、
臨場感というかそのリアルさはなかなか良い。
特に火炎放射のタンク(戦車)が日本軍のトーチカを攻撃するシーンなんて
「あの中であぶり焼きになってんだなあ」
日本兵をまるでシシカバブーか何かのように思う。


ただまあ、借りる前に思った「どうせ『卑怯なジャップを正義と自由の伝道師であり行使者たるアメリカがバツコーンと度派手に蹴散らしてバンザイバンザイUSA!』っていう話なんだろ?」っていう予想は思ってたほどではなかった。
まあ大筋はそのような感じなんだけれども。
ジャップはそんなに汚らしくかかれてない……というかほとんど登場してこない。
通算2名。
日本軍から二万人を越える戦死者を出した硫黄等の戦いを描くのにそれは……どうなんだ?
という気がしないでもない。
この二名もご多分に漏れず戦死いたします。
二人で二万人分の戦死を表現しなきゃならんのだから大変だ。
一人当たり一万人。

撮影する時に日本人の役者なんて準備できなかったんだろうなあ。



それでもやはり日本兵が殺されてその結果、戦場の要所であるすり鉢山を制圧されてそこに星条旗が掲げられる件の名シーンは……
素直に喜べる物ではない。

というか自分が日本人であることを考慮しても「映画史上に残る名シーン」は言いすぎだと思った。
以下ネタバレ。
そしてその感動的であるはずのクライマックスからほんの二秒後くらいにジョンウェインは狙撃されて死ぬ。
っていう、虚無的というか無情な感じは、反戦を念頭に置いた演出、と観れなくも無い。
反戦というか「争いは何も生まない」という普遍的な教訓というか「戦争の空しさ」みたいなものが
感じられる意外なラストだった。

だから「戦意高揚映画?」と思って見た分には意外だった。
まあ戦後の映画だし。
米軍側にも7,000人の死者、26,000人以上の負傷者を出した硫黄島の戦いを描くのに
あんまり「勝った勝ったバンザイバンザイUSA!」では観客も喜ばない時代になってたんでしょう。




…………たぶん。



心に残ったセリフ
「泥酔しようと思って飲み始めるものはいない」
by お酒を飲むと止まらないジョンウェイン

確かにー。と思った。



画像はその硫黄島
上陸前の米海軍が攻撃を加えている様子。