明日はもうすこしマシにします

日記のブログです。ヤフーブログから引っ越したので過去記事には不具合があるかも(2019年10月)。見たり読んだりししたものや考えたりしたことを忘れないうちにメモっておこうというもの。ヤクルトファン。

NHKドラマ『夫婦善哉』眺めたり

イメージ 1

画像はNHKスペシャルドラマ『夫婦善哉』公式サイト
なんか地味なドラマなんですけど
深夜に再放送やってたりしてつい眺めてしまいました。

原作は織田作之助という作家の同名小説。

< 夫婦善哉 - 青空文庫 >

いまドラマは全4話中の3話まで終わっていて
その内容がおおよそこの青空文庫で収められている部分。

>法善寺境内の「めおとぜんざい」へ行った。
>道頓堀からの通路と千日前からの通路の角に当っているところに古びた 阿多福人形 が据えられ、その前に「めおとぜんざい」と書いた赤い 大提灯 がぶら下っているのを見ると、しみじみと夫婦で行く店らしかった。
>おまけに、ぜんざいを 註文 すると、 女夫 ( めおと ) の意味で一人に二杯ずつ持って来た。
>碁盤 の目の敷畳に腰をかけ、スウスウと高い音を立てて 啜 りながら柳吉は言った。
>「こ、こ、ここの 善哉 ( ぜんざい ) はなんで、二、二、二杯ずつ持って来よるか知ってるか、知らんやろ。こら昔何とか 大夫 ( だゆう ) ちう浄瑠璃のお師匠はんがひらいた店でな、一杯 山盛 ( やまもり ) にするより、ちょっとずつ二杯にする方が 沢山 ( ぎょうさん ) はいってるように見えるやろ、そこをうまいこと考えよったのや」
>蝶子は「一人より女夫の方がええいうことでっしゃろ」ぽんと襟を突き上げると肩が大きく揺れた。


どんな話かというと
呉服屋の若旦那のボンボン、放蕩息子、バカボン森山未來)と
芸姑の蝶子が織りなす夫婦ドラマというか人間模様というか割れ鍋に綴じ蓋的な
駄目男とそれを支える、離れられない女、という二人の話。

まぁありがちと言ってもいいようなシチュエーションに
夫婦善哉』というその土地の名物料理かつなにか話全体のテーマを表すような
それでいて朴訥として愛着のわく食べ物をタイトルにする当たりに織田作之助の偉いところがある。

イメージ 2

(『赤灯えれじぃ』1巻より)

この夫婦善哉を出しているお店は今でも現存しているらしく
ヤンマガで連載していた漫画にも登場していました。

で、来週の土曜日(14日)にこのドラマの最終回があるんですが
3話で青空文庫掲載分のすべてが終わってしまって
この後どうすんねん、と思われる諸兄もいるかと存じますが


イメージ 3

実は2007年に続編の『続 夫婦善哉』と題された原稿が発見されて
その内容を初めて映像化するということになっているのです。

< 続編が変える『夫婦善哉』像 - 雄松堂公式サイト >

大阪から別府へ舞台を移し
大正末期から昭和初期へと時代も移るようで
時代背景には(支那)事変というきな臭い匂いも感じつつ
柳吉と蝶子の別府生活が描かれるようです。

そういえばこの「続編の遺稿が発見されました!」ていうニュースは
なんとな~く聞いたことがあったような(なかったような)。

なにはともあれそういうドラマチックな由来を経て映像化される原作。
半沢直樹』のように特別どこかが「面白い!」と豪語できるような内容ではないのですが
なにしろ4話中3話までみてしまっているので
まぁ最終回4話も見ると思います。

食い物のうまそうな小説は良い小説だ。