明日はもうすこしマシにします

日記のブログです。ヤフーブログから引っ越したので過去記事には不具合があるかも(2019年10月)。見たり読んだりししたものや考えたりしたことを忘れないうちにメモっておこうというもの。ヤクルトファン。

まどマギ感想ネタバレ版 ほむら擁護派のための弁明

イメージ 1

画像は公式サイト「Character」項より暁美ほむら

先日の映画『まどか☆マギカ新編』感想 ネタバレ無し版
「熱が続いてたらネタバレ有りの感想もガッツリ」とか言ってたんですが
日本シリーズで田中マーが負けたり勝ったりしていて
そっちのほうについてタイムリーに書いておきたかったので…
後回しになりました。

後回しにしたら、案の定、映画を見た後のあのカッカ来る熱というのは
まぁなくなってしまった。

だけれども。
ネットでこの映画の感想を見ていると

ネット民「ほむほむ(暁美ほむら)が自己中心的すぎ! なんやあれ」

というような意見が散見されたりして
それは違うと思うので、そこだけはハッキリさせておかなければと思ったので
書きます。

というわけで今回はガッツリネタバレします。
基本的に、映画をすでに見た人を想定して書く文章になりますので
ご了承の上お読みください。

あと数日前に映画を1回見ただけの状態で書くので
セリフや細かい設定に誤りがあってもどうかご容赦をば。






●以下ネタバレ有り
この門をくぐる者は「ネタバレされずに映画を見たい」という一切の望みを捨てよ!









あのー魔女になるじゃないですか暁美ほむらが!

おそらく↑これがこの映画の一番の驚かせどころで
一番ネタバレしたらいけないところだと思うので
白字にしてネタバレを防ぐという伝統的なやり方で書いておきます。
(マウスでドラッグして反転させると読めるようになります)
(本当は以下の本文も全部反転させようかと思いましたが面倒だと思うのでやめます)

まずそれがビックリで、たぶん映画的にも一番ビックリさせたいポイントだと思います。
TV版最終回で
「魔女になった魔法少女は、神まどかに救済される」という世界に変わっているから
本当ならほむらは魔女になることで救われる… という
結局、魔女になるという絶望的結末でありながら
それがそのまま救いになるというエンディングだったわけです(TV本編)。

ところが。
問題はそのあとで…

QBバリアを壊し、魔女ほむらが神まどかに救済されるはずだった瞬間!
そのほむらが裏切った!
神まどかを囚えてソウルジェム様の物質に閉じ込めて自らの手中(口中)に収める…。

なぜだ!

どうしてそんなことをするんだ暁美ほむら! 全くわけがわからないよ!

彼女、答えて曰く

「愛よ。」




…。


……。



…………。


ホ、ホムラチャーン…(ドン引き)。

笑。


そんで、そうして囚えたまどかの能力を使って世界をまた作り変えるしね。
たしかにこの経緯をみると、暁美ほむらは一見自己中心的な人物であるようにも見えるのです。

「ほむらは自己中心的だ!」
という感想を持つ人の考えとしてはつまり

「救済されるはずだった瞬間に神まどかを裏切り、囚えて
. 自分の歪んだ欲望のためにまどかをソウルジェム化し籠の中の鳥とした。
. 丸く収まっていた世界をシッチャカメッチャカにした上、自分に都合よく作り替えた。
. 彼女は身勝手なクレイジーサイコレズである」


このようなことになるかと思います。

ほむらの行動原理は、彼女がいうところの「愛よ。」という歪んだ愛情である
鹿目まどかの人格を独り占めしたいがために、世界を黒く塗り替えた。
感情のためにまどかの優しさを裏切って、自らの愛玩具としたのだ

…と、そう考えているのだと思うわけです。
いや実際、次々変わりゆくストーリー展開に翻弄されて
話を追うのに精一杯で一見そういう風に見えてしまうのもある種仕方のないことで。

俺も最初に(ドン引き)してる間はそういうことなのかと思ってましたもん。
でも見終わった後30分くらいカーラジオも付けずに運転中の車内でじっくり考えた結果
そうじゃないと。
暁美ほむらは何も変わっていないと。

彼女の根底にあるのは常に「まどかのために」という純粋な気持ちであり
そのためには自らの身体や人格がどうなろうとかまわないと思っている。
自ら悪魔に身をやつすことも厭わない献身が、美しい自己犠牲が
それが彼女の言うところの「愛」だということではないか。


そう考えを改めました。

つまりどういうことかというと
暁美ほむらが悪魔になることを決心する大きなターニングポイントは
前半の「幻の見滝原市」におけるまどかとほむらの会話で

まどか「家族もいない、友達にも会えない、一人ぼっちになるなんて嫌だよ、寂しいよ」

ほむら「それがあなたの本心なのね…!」

ということを聞いてしまったからですね。
(続いて「本当に嫌なことでも自分で決断できちゃう勇気を持ってるのよあなたは」
. というセリフがあり、ほむらはまどかに対する尊崇の念を新たにするわけですが)

まどかが神まどかになって一見「魔法少女」にまつわる悲劇は終わったかに思えたけれど。
丸く収まったかに見えたけれども。
実は全然そうではなかった。

まどかが… まどかが不幸になってるじゃない。

それに気づいてしまった。聞いてしまった。
そうなるともう
「まどかを守れる私になりたい」という願いで魔法少女になった暁美ほむらですから
この現状(TV最終回後の、まどかが「円環の理」として次第に人格を失い概念になる世界)を
どうにか変えてまどかを救わなければならないと決心したのでしょう。
「円環の理」とかいう概念なんかにならずにすむ
本来の幸せな鹿目まどかを創造しなければならない
と。

そのためにはどうしたらいいのか。
QBが彼女を狙って張り巡らせた罠をどうにかしなければ、まどかは制御される。
救えるチャンスはただ一度。

自らが魔女化して、彼女が自分を迎えにくるその瞬間、捕えるしかない。

まどかを救うために自分ができる唯一の事を。
人格が壊れても。優しさを裏切ってでも。

神まどかを捕まえ、その能力で世界を改変し
神まどかの存在しない世界に書き換えなければいけない。

そうしなければまどかが不幸になる。
自身が魔女にならなければ、悪魔にならなければ、まどかを守れない。
まどかを守れる自分になるには、魔女を超えた悪魔になるしか道がなかった。
たとえ、自身がまどかの敵となろうとも。

神となった鹿目まどかに叛逆するしかなかったのだ。


まどかが寂しい思いをしないで済むように世界を作り変えて
「不幸にならないルートの鹿目まどか」を生み出す。
この献身と自己犠牲が暁美ほむらの本質であり行動原理だと思うですよ!!
それは当然自己愛とか自己中心的なエロスではなく!
無償の――「愛よ」。

つまりアガペーですよ!

アガペー!!


ア、ガ、ペエエエエエエエエエエェェェェーーー!!








…。

……。

…………ハァハァ、ぜえぜえ。ふぅふぅ。

こっ、興奮してしまった…。



思ったより長文になっちゃったな。
こんなにダラダラした文章を書いたのは誰だ!
僕です。
すみません。

言いたいことを簡潔にまとめておくとこういうことです。

① 映画ほむらを自己中心的なクレイジーサイコレズとする風潮がある

② そういう風に受け取ってしまって仕方ない面もある

③ だけど本当はそうではなく、TV版と同じようにただひたすらまどかの幸せを願い
.   「まどかを守れる自分になりたい」と願った結果であって、本質は変わっていない。

④ 暁美ほむらは自己中心的なクレイジーサイコレズではなく、
.    ひたすら “まどか中心” のクレイジーサイコレズなのだ。



うむ。
(クレイジーサイコレズであるところに異論はない)。

別にQBが「円環の理=まどか」を制御しようと罠仕掛けてなかったり
空間内まどかが「寂しそう」とか言わなければ
それはそのままほむらもまどかのお迎えを待って浄化されて終了ですよ。

けれどもそうじゃなかったと。
まどかを害する罠があり、まどかの素直な気持ちを聞いてしまったと。
そうしたらもう、こうするしかなくなったのだ、ほむらの中では。
これ以外の選択肢はなくなったのだ。

詰将棋のように「この手しかない」という一手を打ち続けて打ち続けて
そうして訪れる映画のラストは

「私はそのうちあなたの敵になるかもしれないわ」。

…クゥー!
泣かせる構図じゃあないですか。

友のためなら自分は敵になってもいいと!
きみが笑ってくれるなら僕は悪にでもなると!
そういうことですよ!

だからハッピーエンドでは全然無いんだけれど
アンハッピーエンドでもないというか。
結末はまだわからないというか… どうとでもできそうというか…。
このラスボスほむほむの状態で続編作る気なんじゃないのかしらん。


●まとめ

とにかくこの暁美ほむらの物語は
自身を悪魔として世界を作り変え、鹿目まどかを守ることで決着した。
暁美ほむらの、彼女らしい自己犠牲が背景にある。

なにが、彼女をそうさせたか。





――――――愛よ。





結果から見る行動は独善的に映るかもしれないが
その心には常に鹿目まどかに対する思いやりがあった。
自らの身を犠牲にしてもまどかを守りたいとする、利他的なものであった。
無償の愛であった。
自分は敵になってもいい。悪魔になってもいい。
神となったまどかを裏切ることになっても、彼女の幸せを、守る。

それが暁美ほむらの、叛逆の物語であった。







…よし、綺麗にまとまった。
つまりこういう話だったのだと思いますですね。
久しぶりに全力でヲタ話を書いたぞ! あぁ、楽しかった。