明日はもうすこしマシにします

日記のブログです。ヤフーブログから引っ越したので過去記事には不具合があるかも(2019年10月)。見たり読んだりししたものや考えたりしたことを忘れないうちにメモっておこうというもの。ヤクルトファン。

映画『ベイマックス』観た

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画像はベイマックス公式より。

正月の1日から見てきました。
ディズニーの新作3DCG映画『ベイマックス』
まぁ1100円でしたのでね。

それにしても、ファーストデイなのに1000円ポッキリじゃないのって気持ち悪いなぁ…気持ち悪くない?


●あらすじ

幼いころに両親を亡くし、叔母に育てられた少年・ヒロ。
さらに事故で兄のタダシも死んでしまう

失意のどん底に沈むヒロの前に現れたのは
「あなたの健康を守ります」。
ベイマックスと名乗る、ぷにぷにボディのケアロボットだった。

ヒロはベイマックスとともに兄の死を探るが
突然事件に巻き込まれて――!?



●感想


超おもしろかった! 超です! 超!

ていうか超泣いた! 落涙! 号泣! 滂沱の涙! 野々村議員!


あのー……

どういうふうにこの映画の面白さを伝えようか迷って
つまりこういうことなのか、という表現をひとつ思いついたのはあるんですが
果たしてそれが本当に適切なのかどうかは自分にもちょっとまだわからない。

つまりこの映画は
「ディズニーが本気出して『劇場版ドラえもん』みたいな映画を作ったらこうなった」
っていう作品なんだと思うんですよね。

少年が主人公で
事件に巻き込まれて、友達みたいなロボットと一緒に特殊能力で敵と戦って
シリアスなクライマックスを自分たちの力で乗り越えて
感動的なエンディングがある……
という。

美しいドレスを着たプリンセスと恋愛事情が大きな役割を担う『アナと雪の女王』には
今ひとつ馴染めなかった男性でもこれは面白く見られると思います。

挫折があって、立ち直って、戦いがあって、友情があって……
純然たる男の子映画ですよこれは!
(もちろん女性でも楽しめます)。

だから、誰か見ていない人に「どういう映画?」って聞かれたときに
「昔の『劇場版ドラえもん』みたいな感じ」って答えるのが
意外と本質を外していない答え方なように思えるんですよね。


あと、この映画を見る前にひとつ注目したいキーワードだったのが
アメリカ人のロボット観(の変化)」ということで
従来、アメリカ人というのは、ロボットについて
アトムや鉄人28号に端を発するような
「友達」とか「心強い味方」というような日本人のロボット観とは違って
「人間社会に反逆しかねない、敵」と思ってるらしいんですよね。

映画で言えば『アイ・ロボット』とか『トランスフォーマー』みたいなね。
人間らしい感情や思考を持たず
そのくせ人間よりも運動能力や攻撃能力、さらにフィクションのなかでは
思考能力すら人間の能力を軽々と凌駕して
その高性能さが原因で、人間を敵視し、危害を加えるようになる……

というのが、ある種アメリカ人のロボット観のテンプレだと、言われてました。

それでも2008年には、人間が見捨てた地球を
健気に掃除し続ける掃除ロボットが主人公の『ウォーリー』が公開されて
へぇーアメリカ映画のロボットといえば悪者だったのに、と当時思った記憶があります。

今回の『ベイマックス』は、さらに一歩進んだというか
より日本人のロボット観に近い作品に仕上がっています。

まさに「友達」で、「心強い味方」で、しかも無私で主人に奉公する健気なヤツ……!

しかもフォルムは丸っこくてなんだかふわふわぷにぷにしていて
「つい抱きしめたくなるようなボディにしたかったんだ(作中のタダシ談)」。

こういう考え方って
これまでのアメリカ(映画の)ロボットには全くなかったものだと思うんですよね。

だいたいアメリカって硬くてゴツくて黒くてデカイもののほうが好みじゃないですか。
ひわいだな。
すみません。

ところがこの『ベイマックス』はその全く逆で
白くてやわらかくて小さくて(2mくらい?)、弱い!

弱いんですよ!

作中では、敵と戦う必要にかられて「バージョンアップ」と称して戦闘用スーツを作ったり
飛行できるように改造したりするのですが。
それもまた映画ドラえもんの『鉄人兵団』で空気砲とひらりマントを大活躍させて
戦闘するドラえもん(とジャイアンら仲間たち)のようでドキドキワクワクだったり。

それを改造するシーンも、ガレージのPCと3Dプリンターで色々工夫して自分たちで作ってたりして
オトコノコごころをとてもくすぐられるんですよね~。

小さい頃にこの映画を見たら、理系専攻になりますよ! きっと。

ええと。
ロボット観の話に戻りますと。

そんなわけで、この映画はこれまでのアメリカ映画にあった
「ロボット=悪者」の図式を大胆に転換して
『ウォーリー』よりも更に日本人的なロボット観を描くという
(これはわかりやすく言い換えてしまえば「日本人好み」ということです)
そういう視点から見ると、斬新なディズニー映画です。

けれど、「劇場版ドラえもんみたいな映画」と思って観ると
じつはやってることは結構オーソドックスな筋書きで
それだけにわかりやすく、物語の起伏がダイレクトな感情の波として胸に届きますね。

なんでもベイマックスのデザインは日本人が行ったという話で
そりゃあ日本人好みになるわな、とも思います。

あのしもぶくれた曲線のかわいいロボットは確かにいかにも日本人的です。

(余談になりますが、作中に出てくる軽自動車っぽい小さな自動車も
丸みを帯びた曲線が特徴的で、ホンダのN-ONEっぽかったり
主人公たちが乗る自動車も、いかにもダイハツが作ってそう…という軽自動車感)

そんなわけでですね。
唐突にまとめちゃいますと。

アメリカ人のロボット観を大胆に変えた、日本人好みのロボットが出てくる
少年が知恵と勇気と友情で大冒険して悪と戦う内容は
『劇場版ドラえもん』的で、日本人になじみやすい。

『ニンジャスレイヤー』的なエセ日本の雰囲気がある
サンフラントウキョウもよい感じで、ヘッズも実際大満足!

王道の友情冒険活劇というか。
とてもよいです。
泣けます。
泣きました。

こういう映画って、なんていうか男の子の味だよな……。

個人的には『パシフィック・リム』よりもこっちのほうが燃えました!
いつまでもレリゴーレリゴー言ってないで、男子はこれを見るべきですよ!
ついにアメリカ人も“かわいいロボット”の概念を理解した(と思いたい)!

この「ロボット観」の話を踏み台に
日米の文化の違いとか、それでいてこの映画の日本理解がかなり深いこととか
安易なパロディやオマージュではない、日本映画、アニメ、文化への本質的なリスペクトが
この映画には込められている(気がする)……という話をしたかったんだけれども
時間と体力が尽きた。


●瑣末な感想

・えっ、タダシの声、小泉孝太郎だったの? スゴイ!
・えっ、キャス(叔母)の声、菅野美穂だったの? スゴイ!
・えっ、ゴーゴー(タダシの大学の同級生)浅野真澄だったの? へえー。
・『アイ・オブ・ザ・タイガー』超カッコイイw そして超一瞬w
ロケットパンチ! 超燃える!
・空飛んだ! 超燃える!
・「空を飛ばない方がいいなんて、そんなわけないじゃん!」。的な、いいセリフ。うろ覚えだけど。
・CGスゲエ! 超すげえ! 『アナと雪の女王』の時も思ったけど超すげえ!
・PS6くらいのレベル
・あんまりいうとネタバレになるけどPS4の『KNACK(ナック)』みたいな…
・カーチェイスのシーンもスゴイ! ちょっと『カリオストロ』思い出す感じ
・冒頭に、『ベイマックス』とは関係のない短編映像が入るんだけどその時点でちょっと泣いてた
・だって犬だもん! 卑怯だもん! 犬は卑怯だもん!
・ロボットも犬も、主人にひたすら忠心があって、無償の愛を投げかけてくれるという点で一致していて
あの短編映像がこの映画の先に入っているというのは、無意識のうちに観客にロボットをそういう
アメリカにもよくあるありふれた存在とダブらせることで、本編の『ベイマックス』についての
「感動の仕方」を事前にレクチュアしていた可能性もあるのではないかと今思ったり。
・要するに「(本作の)ロボットてのは、人間じゃないけれども、仲間であり、家族であり、友達であり、
無私の愛をくれる、例えて言うなら犬みたいなもんだ」…と、言外に伝えるための小品だったのではないか。
・知らんけど。



以上! いい映画でした。