明日はもうすこしマシにします

日記のブログです。ヤフーブログから引っ越したので過去記事には不具合があるかも(2019年10月)。見たり読んだりししたものや考えたりしたことを忘れないうちにメモっておこうというもの。ヤクルトファン。

自分の境遇がおもしろすぎて笑いが止まらなくなることってありますよね

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バイト終わり。
水曜提出のレポートの原案をまとめようと、帰り道、ガストへ。

おっ、この野菜たっぷりうどんってうまそうだな。
すいませーんこれくださーい。

運ばれてくる。
やっぱりうまそう。
ずるずるもむもむ。
うまい。

対面のテーブルで、綺麗な女性が喋っている。
テーブルに二人座って、友人と思しき女性とおしゃべりをしている。
美人さんだ。

男が、美人さんを見て
(おっ、美人)
と思うのは、別にいかがわしいアレではなくて、
たとえば一般道路でフェラーリをみつけたら
「おお、フェラーリだ」
と驚くようなもので、あるいは富山県の場合で身近に例えると
「おっ、たぬきだ」
というようなもので、自然に浮かぶ感情の一つであって、
べつにいかがわしいアレじゃあない。
いやほんとに。

何も考えずに、うどんを頬張りながらちらちら見てたら、目が合った。
女性、くちびるの端を可愛らしく上げて、微笑む。
どきっ
とするのは成人男性として正しい反応であって
けしていかがわしいアレじゃあない。


うどんを食い終わって。
レポートの原案もできて、よしそろそろ帰ろうかしら。
と思ったのだけれども。


無い。





無い。




どこを探しても




財布が無い。









………………………ちょっ。

あれえええええええええ?
なんでえ?
うそやろ!?
マジデカ!?
うどん食い終わってるよ!
それどころかドリンクバーまで頼んじゃったよ!
どうすんだよおい!




結局。
店員さんを呼ぶ。
ピンポーン。

「はい、お待たせしました」
「……あの」
「はい」
「あのですね」
「はい?」
「その~……」
「?」
「さ、財布を家に忘れてきてしまったみたいでっ……!」






想像していただきたい。
このセリフを吐くのにどれだけの覚悟が必要だったかを。
どれだけ恥を忍んだかを。
堪え難きを堪え、忍び難きを忍んだかを。

店員さんはその心情を全く理解してくれず、無表情のまま。
「……い、家に取りに戻ってもいいですかねっ……?」
「少々、おまちください」

どうやら上司に確認しに行った模様。
戻ってくる。
「あの、身分証明みたいな物ってありますかね?」
…………財布が無いのにそんなもんあるかい。
って、あ。
今気付いたら免許不携帯だった。
いかんいかん。


結局、ケータイやノートなどの、色々の荷物を置いておいていったん取りに戻った。
うう……恥ずかしい……。
と内心では思っていたが。



こりゃブログのいいネタになるな……

と思っていたのも事実。
中朝事実。





財布を取ってきて、再びガストへ。
支払いを済ませる。
「どうもすいませんでした……」
「いいえぇ」
店員さん、顔、笑ってますよ。




ううう……これでこの店、来づらくなってしまった……。
とぼとぼ肩を落として歩いていたら、
「ちょっと、すいません!」
と女の声。
振り返ると、立っているのは先ほどの美人。

おおっ……これは……ロマンスの始まりかっ……?
そうだっ……禍福はあざなわれた縄のごとしと言うじゃあないか!
こんな恥ずかしい不幸があったんだから、今度は驚くような幸福がまっているに違いない!!
そうだ、そうに違いないってば!
微笑む美人。
高まる期待。
「ハイ、なんでしょう(背筋を伸ばして)」
「さっき、一生懸命勉強されてましたよね?」
「ええまあ(ダンディな声で)」
「偉いねぇ」
「そ、そうですか?」
「うん、偉いよ」
美人さん、澄んだ瞳で見つめて来る。
ものすごい、まっすぐに見つめてくる。
「それで」
どきっ。
ハ、ハイ。

「それで、ちょっと、あなたと、すごいお話したいなと思って……」






キタコレ。

キタよ、キマシタよ!
フラグ立ってますよー!
ざっぱーん。
波だ、波が来てるぞぉー!
今年いちばんのビッグウェーブが来たぞぉー!
ボードだ、ボードを持ってこーい!!
らっせーらー!らっせーらー!
合戦じゃあー合戦じゃあー
太鼓を叩けー!ほら貝を吹けー!
翼あるものは飛べ!足ある者は走れ!腕ある者は、這ってゆけーい!

お祭り騒ぎ。



微笑む美人。
じっと瞳を見つめられる。
速くなる鼓動。

名も知らぬ美女、そっと唇を開く。















「あの、宗教って興味ないですか?」




















……………………………………………………………………あぁ?




いや、ちょっ、おまっ!



おい!



宗教かよ!


さっき向かい側のテーブルで熱心に喋ってたのは、おしゃべりじゃなくて勧誘かよ!!


おい!


そりゃまっすぐに見つめてくるよ!


まっすぐな瞳だよそりゃあ!


ちょっと待ってください、と。


一日に二つもそんなにおもしろい話があっていいんですか、と。


その瞳に込められた感情は、こっちが期待していた種類の物とは全くの別物じゃないですか、と。



なんとか、感情を抑え、理性を取り戻す。
「……結構です」
こういった手合いに必要なのは、はっきりとした拒絶。
これがいちばん良い。
「いりません」


ところが。
めげない女性。


「ええ、なんで?」


えっ!?
「ええ~…『なんで』かぁ~…その返答は予想してなかったな……」
「ああ、宗教だからって、それは先入観でしょう?」
「先入観、と言えばまあ……否定はできませんけど」
「でしょ?ちょっと、時間あるかな?」
「無いです(男らしくきっぱりと)」
「あ、じゃあ明日とか……」
「バイトあるんで無いです」
「じゃあ平日……」
「僕、勤労学生なんで(嘘)平日も深夜までバイトあるんで(大嘘)時間なんてないです」
「あ、じゃあ今は……?」

うっ。
嘘はもう少し考えてからつくものだ。
そう思った。

「ええとその……これから……家へかえろっかな~……なんて」
あまりに鋭い質問に、嘘が出てこなかった。

「そっかー…。あ、じゃあ来週は」
「来週実家帰るんで無理です」
「へえ、実家どこ?」
「富山です。まあ、富山まできてくれるって言うんなら話は別ですけど?」
早く諦めてほしい。イジワルを言ってみる。
ところが。
「あ、行く行く~♪」
快活な女性。

わははははは。
と、
一応笑っておいたけれど、
マジで来かねん。

冷や汗を流す俺を尻目に、女性、一方的に喋り始める。
「宗教っていうのは」

「色んな宗派とかがあって、どれか一つが正しくて、他は間違い」

と言った。もちろんその続きに、
――なんてことは無いのよ。
って言うのだろうと思った。
常識的に考えれば、宗教にはそれぞれの教義があって、それぞれの成り立ちがあって、それぞれ、それなりに正しいことをいいながら共存してるんだろう。
八百万の神が住んで、葬式には両手を合わせて、結婚式はチャペルで祝う日本人の感覚は大体がそうだろうと思う。
しかし彼女は。

「どれかが正しくて、他は間違いなのよ」

と。
…………あれっ?
俺の聞き間違いかな?

そんな馬鹿な。

今思い返してみても、
「そんな偏狭な」
と思う。


「え、なにシュウですか?」
「あ、この冊子……」
女性、封筒から分厚い冊子を取り出す。
日蓮』の文字が覗く。
日蓮宗ですか?」
日蓮ソーシュウっていうんだけど」
「あ、ぼく由緒正しい浄土真宗なんで」

これだっ!
ここから逃れるには自分の宗派を言うしかないっ!
自分が正しい浄土真宗徒だという自覚も無いけれど、じいちゃんばあちゃんは正しい浄土真宗徒だし、
吉川英治の『親鸞』読んだし、「御仏の情けにすがりなさい」ってのがその教義だし、
ようし、ここはひとつ親鸞さんにすがろう!

たすけて親鸞さん!


「僕、浄土真宗なんで……」
と言ったがしかし。
彼女は。


「だからこそじゃない!」



と。
………ああ~っ、だからこそ、かぁ~…
その返答も想定外だなー……。


「宗教だけど、この本に書いてあるのは、地震とか災害とか、そういう身近な……」
身近かぁ!?
いや、もちろん防災の心構えは身近であるべきなんだけれども!
しかしこの場合の「地震とか災害」はまた意味が違うような……!
ていうか今が災難なんですが……!
「悪い宗教を信じてると、災害が起こるのよ?」
(あまりのぶっ飛び具合に)記憶が定かではないが、確かそのようなことを言っていたように思う。
なんですかその心の狭さと言うか、ケツの穴の小ささと言うか、他宗教に対する不寛容さと言うのは。
いったいどこからその偏狭さが生まれるんですか、と。
なんだか今日は財布を持たずにファミレス入っちゃうわ美人さんに話しかけられたと思ったら宗教勧誘だわしかもその内容がこれだわで、おもしろすぎるな。
笑いの神が降りてるな。
と思ってニヤニヤしてたら
「いや、笑い事じゃなくてね?」
とたしなめられた。
いやあー「他を信じると災害が起きる」なんて言葉は十分に笑い事だろう。



「ね、ちょっと、お話してこ?」
ふふふ……その「お話」の内容さえまともなら、女性から言われるには最高のセリフなんですけどね……

どうにかして振り切りたい。
「じゃあ!」
必死な俺。
「じゃあ!『縁』があったら(意識的に仏教っぽいタームを使う)たぶんまた会えますから!今度また会ったらそのときに話しましょう!!」
超必死な俺。
「じゃあ明日も来週もここにいるから」
と、女性。
さらに輪をかけてこの店に来づらくなってしまいましたとさ。




じゃあ残念だけど、また今度ね?この冊子だけでも読んでみて?
と、女性。
画像がその冊子です。
……にやあ、と、苦しい笑いがこみ上げる感じの表紙でしょう。

俺の件の財布には、越中一ノ宮高瀬神社の学業お守りがぶら下がっているのだけれど。
最後に女性は
「あ、お守りはつけないほうがいいよー」
と。

余計なお世話でございます、と。
腹を抱えて笑い転げたいところを何とかこらえて、
交通安全のお守りのついた原チャリにまたがるのでした。





こ り ゃ 今 日 の 日 記 は 長 文 だ……


と思ったとおりの長文になった。




それにしても、ネットブログにあるまじき情報公開というか実名を出したこのブログなんだけれども、
今日のこれはある種、特定宗教批判という内容が内容だけに、

少しヒヤヒヤしております。




いいか!
この記事をコピペしたりするなよ!?
それを張っちゃいかんところに張るなよ!?





いやマジで。