明日はもうすこしマシにします

日記のブログです。ヤフーブログから引っ越したので過去記事には不具合があるかも(2019年10月)。見たり読んだりししたものや考えたりしたことを忘れないうちにメモっておこうというもの。ヤクルトファン。

ワニの話

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画像はワニです。
撮影/吉田敬さん。
遠方まで運転していただいてその節はありがとうございました…。

というわけでワニの取材に行ってきたんですこの間(写真を見ればわかるとおり)。
最後のワニがカメラ目線で得意げな表情?笑。

日本で唯一、
食用ワニの養殖事業をしているところが静岡県にあるんです。
その名も「小池ワニ総本舗」。
http://www.koike-wani.com/

その際の記事がこちら↓
http://r25.jp/b/honshi/a/ranking_review_details/id/1112008121109

ワニの養殖にはメリットがさまざまあって、
●手入れが簡単(世話がそんなに必要ない)
●生命力が強い。育てるの簡単(風邪をひいても自分で抗生物質を作り出して治してしまうそう)
●肉と皮、どちらも商品になる
●餌はトリの廃棄肉でいい。餌代ロハ(トリは全重の50パーセントが廃棄されるのだとか)

などなど。
最初は
「捨てられる鳥肉がもったいない」
ということで始めたそうだが、

なんでワニなんですか? と聞くと
「他にいますか? 肉食で、養殖できそうなモノが」
とのお答え。

hummm...

いないわ。笑。



ワニは厳重に鍵をかけられた(二重鍵)ビニールハウスのような施設の中におりました。
中はプールのような部分と、
少し土が見えている地面の部分に。
プールと地面とはワニが自由に行き来できるようにスロープになっているんですが、
もう寒かったのかワニはあんまり動かずにじっとしていました。

おもむろに、
「だっこできますよ」
と小池さん。

・・・。


・・・・・・。


ビビるワタクシ。

一度は固辞したものの、
ここでワニをだっこしないと、
きっとこの先一生ワニを抱っこする機会はないだろうな! と思い直し、

「ぜひ抱っこさせてください!」

と頼む。

養殖所にいるワニの様子を眺めていると、
これが全然動かない。
もっとこう、ぎゃーとか、わーとか、
喰うぞ喰うぞ喰ってしまうぞ近づくものは噛み付いて引きちぎって食い荒らしてしまうぞ…
という凶暴と迫力に満ちた様子を想像していただけに、
日向ぼっこをするお婆ちゃんほども動かないワニの様子に少し拍子抜け。
(これならだっこもいけそうかな…?)
次第にいっちょやってみっかオラワクワクしてきだぞ。という気分に。

「では準備をしてきます」
と小池さん。

その間にこちらも(心の)準備をしておく。
タケオキクチのカーディガン(セール品)を脱いでシャツ姿になっておく。

小池さんが、
ビニール管の中にナワを通したものを持って戻ってくる。
どうやらこれでプールの中にいるワニを捕まえるらしい。

そら来いっ!


しかし。
ビニール管の先から出ている輪っかをワニの口に通して、
口を開けないようにする。のだが。

それまでおとなしく悠々としていたワニが、
ナワで口を縛られた瞬間、
全長2メートル以上の巨大な身をひるがえして暴れる暴れる。
(ワニが暴れている情景を想像しづらい人は、
2メートルの大男が床に転がって手足をぶんぶんして駄々をこねている様子を想像してください。
どうです怖いでしょう)

がおー!
って感じだ。
いや口は縛られてるから声は出ないしもともとワニはがおー!とは鳴かないんだけどさ。
ドラゴンじゃあるまいし。
しかし見た目はリアルモンスターハンター

怖い。
口にナワをまかれたワニは、
身をぐるりぐるりと回転させて、
逃れようとする。

おおっ、これが噂に聞くワニの「ローリング攻撃」か。
どうぶつ奇想天外』や『世界丸見え特捜部』を見て知っていたワニの生態を直に見て、
少し感激する。
(ワニは獲物をとらえるとき、かみついた後に体を回転させて水中に引きずり込み、獲物を逃がさないようにする)
やはりワニは凶暴である。
その凶暴さと突然の俊敏な動きと爬虫類のように鋭い目つきに(当たり前だ)、
少し圧倒される。

だっこする気が削がれる。

「だっこさせてください」
とのんきに言った自分の言葉を後悔し始める。
だってあんなに鋭い牙がズラズラ並んでいるんだぜ。
背中の皮とかも思ってるより立体的にとんがっててトゲトゲしているんだぜ。
噛まれたらたぶんワニの歯を抜くゲームで負けた時よりも痛い思いをするんだぜ。

そんな思いを知ってか知らずか、
小池さんはワニを陸地に引っ張ってくる。
これであいつはもはや陸に打ち上げられたワニ。
いやまぁ、
全然陸地でも活動してるんだけどねワニ。

小池さん、
ワニの口を黒いビニールテープでぐるぐる巻きにする。
…ビニールテープかー。

いや、
ワニは口を閉じる、噛む力は強いけど、
口を広げる力は弱いんだという話は聞くけど。
聞くけどー。
聞くけどさー。

それにしてももうちょっとなんかこう、
なにかないのですか。

「びっ、ビニールテープで大丈夫なんですか?」
ついその不安を口にするワタクシ。

「そうだねー。経験上、1回ぐるっと回して貼れば、それでもうワニは口を開けられないけど、
一応安全のために5回まわしてあるから、大丈夫だよ!」
と小池さん。

ビビっていることがばれてしまったかと思い少し恥じる。
しかし
「何かの拍子に外れて、指の2・3本でも失ったらキーボードが打てんくなって職を失うな…」
という不安な気持ちがぬぐえない。
それと
「指がないとゲームができないなぁ」
という切ない思いがやはりぬぐえない。
Wii Sports』ぐらいならできる…かな。


すっかり腰が引けている状態で、
まず小池さんがだっこする。
意外とおとなしい。
さっきまでぐるんぐるんのたうち回って暴れていた同じ人物…同じワニとは思えない。
「はい」
とワニを渡してくる小池さん。笑顔がすがすがしい。

おっかなびっくりだっこしてみる。
こんなにおっかなびっくりだっこをするのは、
まだ赤ん坊だった姪っ子をだっこする時以来のおっかなびっくりっぷりだぜ!
思いながらおっかなびっくりだっこをする。

冷たい。
ワニが変温動物であったことを思い出す。
重い。
コレならいい肉が取れるであろう。
顔が近い。
目が怖い。
細い。
目が細い。
殺し屋のような目つきをしている。
いや殺し屋の目を見たことはないけれども。

臭くはない。
もっとこう、獣臭というか、生臭いにおいがするかと思っていたけど、
ノンスメル。
(しかし今思えば、ワニハウスの匂いで鼻がある程度マヒしていた可能性を否定できない)

肌触りは…なんというか、
ビニール? というか、つるっとしていて、キュッとしていて、
やわらかい。
ああそうワニ革のバッグを生にしたような手触りです。
身もふたもないか。

抱き上げると、
意外とおとなしくなるワニ。
ゆだったネギのようにくてっとして、
力が抜けている。
小池さんいわく
「慣れていない体勢になるから、抱っこするとすごくおとなしくなるんですよ」
なるほど…。

目を見る。
先ほどまで殺し屋のようだった目も、
くてっとしている今を見てしまえば心なしか優しい瞳のように見える。

なんだ意外といいやつじゃないか…

とおもってちょっと背中を撫でてみる。
やはりゴツゴツしている。
これはこれでかっこいいかもしれない。

抱っこをすると愛着がわいて、
なんというか…そう、心が通じ合った感がある。
ワニよ。


ビニールテープをはがしてワニを開放すると、
ワニはのそのそと歩いて、再びプールの中に戻っていった。
グッバイワニ。


このあとそんなワニを食べます。