明日はもうすこしマシにします

日記のブログです。ヤフーブログから引っ越したので過去記事には不具合があるかも(2019年10月)。見たり読んだりししたものや考えたりしたことを忘れないうちにメモっておこうというもの。ヤクルトファン。

氷見のきときと寿司本店へ行ってきました

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画像は氷見のきときと寿司本店。
富山県民の方には今更ではございますが
一応説明しておきますと、きときと寿司とは富山県を中心にしたグルメ系回転寿司のチェーン店です。
ちなみに「きときと」とは「(魚の)新鮮なこと」という意味の富山弁です。

おそらく富山県限定なのだと思いますが
たまにキリンかどこかのビールのポスターで「きときと」とコピーに使っているものがあるのですが
本来は魚に使うための形容詞ですので
いまいちピンと来ません

<きときと寿司 - 公式Webサイト>

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へえこんなにあったんですね。
中でもこの氷見本店は
破格の安さで氷見港直送の新鮮なネタが味わえると評判です。
確かに上の地図を見ると富山湾のすぐそばに店舗がありますね。
(ところで「うえのちず」と打ち込んだ段階でGoogleIMEさんは
社会学者の「上野千鶴子」(富山県出身)をサジェストしてきました)

富山湾と言えばブリ・ホタルイカ・シロエビといった海産物が豊富で
言わずと知れた海の幸の宝庫ですから
これは否が応にも期待が高まるというもの。

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見よこのシラウオの輝きを!
(あっアレ…サムネイル画像だとなんか汚いな…
クリックで拡大して見てください。

ケータイの小さいカメラで撮ったにもかかわらず
魚がツヤツヤピカピカ光っているでしょう。
身も半透明でピンと立ち、見るからに食感の良さを期待させてくれます。
なぜかおまけにイクラも乗って1皿180円

まぁこのシラウオは別に富山湾のものではないと思いますが。
それでもなぜあえてこのシラウオを撮影したかといいますと
このシラウオってえ小さな魚はとても鮮度やネタの質が見た目でわかりやすい魚なんですね。

ブリやヒラメは切り身になってしまうともうわかりませんが
やはりこのシラウオのような魚は生のままで丸ごと1匹(どころじゃない)乗っているので
素人目にもそれがいいものか悪いものかわかりやすいのです。

で、上のものと違って、悪いシラウオはどういったものかと申し上げますと

・張りがなく身がぐたっと垂れている(溶けている)
・身に透明感がなく黒ずんでいる
・目が死んでいる
・ツヤがない
・まずい

といった特徴が挙げられます。
なぜこういうことがわかるかといいますと
そういう悪いシラウオを食べたことがあるからです…。

これからすこし昔話をするがやけどちょっとだけつきあってま。

あれはまだうら若き18歳頃のことでした。
当時大学に通う傍ら池袋のゲームセンターでバイトをしていたワタクシは
前半の仕事を終え夕食の休憩に入りました。

そこで選んだのがゲーセンから程近い1皿100円の回転寿司。
雑居ビルの1Fにあり
狭い店内にベルトコンベアがところ狭しと張り巡らされています。

100円! 安い!

と、喜び勇んでそのお店に入りました。

しかしそのお寿司の不味いこと・・・!

ネタはぐにゃぐにゃでシャリはボロボロ、どれも小ぶりでちっとも寿司を食った気がしません。
乗っている魚はヒラメという名前を付けられた何か別のもの、
カンパチという名前を付けられた何か別のもの、
アジという名前を付けられた何かべつのものというようなものばかりでした。

これか!

これが東京の味か!

東京とはつまりこういうことか!


と内心カルチャーショックを受けながら惨憺たる気持ちで寿司を食べ続けました。
それはバイトの合間の楽しい食事(しかも寿司!)という良いものではなく
ただ空腹を満たすための作業であったように思います。

その悲しい食卓の極めつけがシラウオ軍艦巻きだったのです。
寿司を食べれば食べるだけ落ち込んでいく気分を
その可憐で美しい姿、光り輝くような透明感、さわやかな味わい…そのシラウオの力でもって一新させようと
一縷の望みを掛けるような気持ちでシラウオの皿に手を伸ばしました。

しかしそこに乗っていたのはシラウオと呼べるものではありませんでした。

ツヤもなく光もない、新聞紙のような灰色。
巻かれたノリで作られた槽にベチャーとだらしなくゲル状に広がっているサカナ。
頭がどこかもわからないような軍艦巻きのゲル状サカナに
申し訳程度にポツポツとのる小さなゴマのような目。

それは一見して「これがシラウオ…?」と呟いてしまうほどのものでした。
なにより驚いたのはその黒さ。
「灰色」というより「ドブネズミ色」と言ったほうがしっくり来るような
透明感のない腐った墨色をしていました。

白くないのにシラウオとはこれいかに。(ドッワハハ

おそるおそる食べてみましたが…味もまあひどいもので。
サカナ(シラウオと呼びたくない)はべちゃべちゃと舌の上にねとつき
爽やかな味も香りもなく
口の中いっぱいに腐敗感が広がっていき
シャリはゴミみたいな味と触感
ノリに醤油をたっぷりつけてなんとか飲み込めるといったようなシロモノで
印象を簡潔に直喩するとまるで腐ったメダカを食べているようでした。

東京の回転寿司は悲しい味がする。

あのとき、
18歳の僕はきっと泣きそうな顔をしていたと思います。

それは
海の幸溢れる富山県からやってきた少年が
大都会・東京というものを実感した瞬間でもありました。

それでも残さず2貫ともちゃんと食べるんだから偉いよね。


以上、昔話終わり。
というわけでこの苦い経験がありまして
そこでようやく氷見の話に戻るがいちゃ。

あの鼠色だったシラウオに比べて
このシラウオはなんと生命力と爽やかさに溢れていること…!

ピンと反るような身はプリプリと口の中で弾けて
歯を立てるとクキッ、クキッ、と心地よい食感を跳ね返してくれ
ひと噛みごとにほのかな甘みと爽やかな風味を口の中に充満させてくれます。

何匹も折り重なるようにして盛られたこの小さなシラウオ
一匹一匹のその生命力が、口の中から溢れてくるようで
爽やかな若い緑の風が体を吹き抜けていくのを感じます。

うまい…。

あのとき味わいたくて味わえなかった
自分が思っていたシラウオの寿司というものをしみじみと味わいました。
7年越しで本当のシラウオを食べられたような気持ちです。

…というわけで
おなかいっぱいになるまで食べました。

10皿でやめようと思ったのですが
「ホウボウ」という珍しい魚が本日のオススメというページに書いてるのを発見し
つい11皿目を頼んでしまいました。
そしたら食べ過ぎてお腹壊した

旨味の濃い、油のたっぷりと乗った、日本酒が欲しくなる魚でした。
おいしかったです。

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で、満腹になるまで11皿も食べて会計は1,680円[税別]というのだから
安いです。
や、まあ普通のご飯と思うと高いですが
寿司と思うとこれだけの満足感でこの価格は破格と言っていいですね。

思わず『孤独のグルメ』の回転寿司回で会計をするときのゴローちゃんのように
「安い…」とひとりごちてしまいました。
ラストの2枚… アレが効いたな…。


あ、「二度とこんな店来るか!」と思った池袋の回転寿司でしたが
あのお店でもサーモンは美味しかったです。

富山と全く変わらぬ味で、
むしろ逆に「なんでサーモンだけこんなうまいんだ?」と不思議に思いましたが
よくよく考えてみれば回転寿司のサーモンはまぁノルウェー産とかアラスカ産とかだろうと思うので
日本全国どこで食べてもノルウェーの味なわけです(ないしアラスカの味)。

サーモンはいつどこで食べてもうまい

これはひとつの発見でした。

ところで「富山の回転寿司クオリティは銀座の寿司並」という
さすがに富山県民でも「いやいくらなんでもそれは言い過ぎやろ~」と思う言説を最近聞きました。
一度確かめてみたいので誰か銀座の寿司を食べさせてください。


↓言うほどおすすめでもない