明日はもうすこしマシにします

日記のブログです。ヤフーブログから引っ越したので過去記事には不具合があるかも(2019年10月)。見たり読んだりししたものや考えたりしたことを忘れないうちにメモっておこうというもの。ヤクルトファン。

富山市痛車のキャラデザ費231万円

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画像は昨日もちょろっと書いた
富山市のパトロールカー・公式痛車

< 【痛車】 富山市、萌えキャラ公用車お披露目 - サウザンドアイズ >

今年の3月末から走ってたんですね~。

じぇっ…

じぇじぇっ……

じぇんじぇん知らなかった…。

名前は“神通ゆい”と“風間あおい”というらしいです。

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富山市のパンフレット「ろかるちゃ!」HPにもちょっと紹介がありました)

で、これの存在を昨日知って
軽く調べてみたんですが…

なんとこれ、この痛車を作るのに、10万円+231万円かかっているそうなんです。

詳しくは富山市公式HPのQ&Aにて。
<キャラクターステッカー貼付の青色パトカー導入について - 富山市 >

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に…にひゃくさんじゅういちまんえん…。

たかすぎうち。
富山市もナニさらっと「231万円で依頼し」で済ませてるんだ。

しっ、市民の血税をなんてことに…!

まぁ富山市に住んでるわけじゃないので別にいいのですが。
「市が大金をつぎ込んでオリキャラを作った」とか、ハッキリ言って大爆笑な事象なんですが。
それにしてもこれはちょっと高すぎなんじゃないですかね。

「キャラクターデザイン」の相場がいくらくらいするものなのか知りませんが
ポスター代金含めて231万円っていうなら、想像するに

キャラデザ費1体100万円×2
ポスター原画費30万円
1万円 ← ?


という内訳ではないでしょうか。
1万円はなんなんだろう。

で、この「キャラクターデザイン費」っていうのは
相場があってないようなもので
実際は描く人の言い値というか、発注側と受注側次第で大きく金額が変わるようです。

昨年には『ストリートファイター』のキャラデザで知られるイラストレーター“あきまん”氏が
エンターブレインからの発注費を公開してちょっとニュースになってたり。

<エンターブレイン、あきまんにゲームのキャラデザ1体8000円で依頼するも「1体10万からね」と断られる - 痛いニュース(ノ∀`) >

エンターブレインというところから
>一体8000円の仕事の依頼が来たけど
>ゲームの売りになるようなキャラだそうで6体かな
>俺は1体10万円からなのでよろしくお願いします

8,000円というのはあまりにも安価ですが。
また、ソーシャルゲームのカードのイラスト料が1枚3万円という話も。

< 1枚3万円でも高すぎる! ソーシャルゲームイラストの適正料金はおいくら?- 日刊サイゾー>


 果たして、イラストレーターの適正なギャランティはいくらなのだろうか?
>「一流のイラストレーターならば、一枚あたり20~30万円を支払うこともあります。
>どんなに安くても、1枚3万円以下ということはありません」(開発会社の社員)

まぁ、下の方はあくまで「イラスト料」であって「キャラクターデザイン費」ではありませんが…。
それでも1からイラストを起こすならキャラデザみたいなもんじゃないかと思います。

ここで重要なのは

ストリートファイター』シリーズのキャラデザやった超有名人でも
1体10万円からでやってくれるらしいんですよ!

それがなんで2体で231万円なんてことに…。

で、ここからが少しややこしいところで…。
「キャラクターデザイン」と一言に言っても、その内容は千差万別なわけです。

「何の」キャラクターなのかというところが最も重要
たとえばその後グッズ化や漫画化を視野に入れるアニメのキャラクターや
3Dポリゴンモデルを作ることが前提のゲームのキャラクターでは
設定をきっちり厳密に決めて
「作品によって顔や服や身に着けているアイテムが違う」
というような事態を防がないといけないですし。

逆に
ソーシャルゲーの雑魚カードみたいな
使用は一発こっきりで、使われる媒体もそのゲームだけ! となるのなら
上がるイラストのクオリティさえよければ
言ってしまえば、雑な設定でも実害はないわけです。

上にあげたリンクでは
「3Dモデルを作るためのデザインは細部まで考えないといけないし大変」みたいなことも
書いてあったりして、一筋縄ではないことがなんとなく見えます。

で、このキャラクターデザインをした人がそもそもどんな人かというと

< 森沢晴行 - Wikipedia >

森沢晴行(もりさわ はるゆき)は、日本のイラストレーター・漫画家。男性。
富山県出身、東京都在住。
> 代表作 『輪廻のラグランジェ』、『とある飛空士への追憶』(ガガガ文庫)、『ドリームクラブ』(Xbox 360)


おおっ『ドリクラ』のキャラデザの人…。
ざっと作品を眺めてみると、結構有名な作品を手がけている方のようです。

で、この『ドリームクラブ』が正に
3Dポリゴンモデル制作を前提としたキャラデザになってくるんですね。
しかもゲームのデザインは何回もリテイクを出してクオリティを高めていくのが
当たり前
の大変な作業…。

この時点で
富山市がイメージしている「キャラクターデザイン」という言葉が意味する作業と
このイラストレーターが実際にこれまで行なってきた「キャラクターデザイン」という作業には
かなり乖離があったのではないかと考えられます。

最初、富山市的には

「おまん、富山出身ながやしぃ~、ちょっと地元のよしみでちゃちゃっと可愛い女の子描いてくれま!」


くらいの温度感だったのではないかと。(あくまで想像です)

一方、イラストレーターは

「そうは言ってもそれってキャラデザですよね? 絵を描いて気に入らなければリテイク出されるんですよね? そしてその後ポスターや車に利用されるんですよね? なら1体100万円です。それはそういう相場ですし、普通、それくらい頂くべき作業なのです

という事だったのではないかと。
そんで富山市はナニシロ公務員ですから
「そうか、そういうものなのか」となれば、値切ることもせず、言い値で支払ったのではないかと…
思われます。

ただこれねー
富山市が「10」のものを求めているところに
イラストレーターが「100」のものを作る見積もりで出したという気がしますね。

家の前の用水路に車を通るコンクリ橋作ろうと思ったら
明石海峡大橋ばりの吊り橋工法で見積もり来ちゃった、くらいの。

両者が使っているのは同じ「キャラクターデザイン」という言葉でも
実際にそれくらいの意識の違いはあったように想像されるんですよ。

3D化(『ドリームクラブ』)を前提に含めたキャラクターデザインの仕事にも慣れた人が
何度もリテイクを重ねないといけない大変な作業工程の価格で出した見積りを
富山市がそのまま真に受けて支払ってしまったような。

そう考えると

「(特にキャラビジネスに慣れていない)発注側の実作業や相場に関する無理解と
. 素人発注に慣れてない受注側の、そういう発注元へ歩み寄る努力の無さ

という点で、よくありがちなボタンの掛け違いだと思いますし
アニメとか関係なく、一般的に有りそうな話だと思います。
特に実作業を知らない役所が発注する仕事の場合。

で、さらにちょっと調べたところ
「著作権譲渡含むキャラデザなら100万~、ないなら10万~でいいですよ」
というデザイン会社のHP
も見つけました。

価格的に、著作権譲渡も含まれているのだろうと思います。

もしこれが

「3Dポリゴンモデルやフィギュア化、グッズ化することを前提の厳密なデザイン制作で、かつ、その後のキャラビジネスをやりやすくするために、著作権も譲渡します」


という内容の仕事なら、1体100万円は決して高くない価格設定だと思います。
特にキャラビジネスするときの著作権譲渡は言ってみれば商材の仕入みたいなものですし。

けど多分そうじゃないじゃないですか。

ポスターくらいは作ったようですが
富山市が今後このキャラクターで収益を上げたり
あらゆる媒体で活用していくかといえば、きっとそうじゃないじゃないですか。
富山市がこの後このキャラで萌えキャラビジネスやるかと言ったら、やらないじゃないですか。
(やったらすごい)。

どちらかというと、単発の、今回の企画(痛車・ポスター制作)のみで続かず終わる方が
想像しやすい結末でしょう。

それに1体100万円だったのだとしたら、それは払い過ぎです。

でも、もし仮にそういう経緯だったとしても(重ねて言いますが境遇は全部想像です)、
別にイラストレーターが悪徳で
何も知らない素人相手にぼったくったというわけではなくて、あくまで

富山市「キャラクターデザインしてください(簡単に)」
イラストレーター「キャラクターデザインですね(けっこう大変)」


という、意識の相違というか食い違いがそういう結果になってしまっただけなんじゃないかと。

仮に、結果的に富山市が何度もリテイクを出さず、
イラストレーターの思っていたほど手間や工数がかからなかったとしても
それはイラストレーター側から
「思ったより楽だったので安くしましょうか」とか言うことではない
ですもの。
なんで事前に決まったギャランティーの契約をひっくり返してまで
自分の実入りを少なくするディスカウントを提案しなきゃならんのか。

もし富山市がもう少しコストを抑えたかったとしたら、事前に

「いや~100万円はキツイっす。おそらく今回単発の使用になるので、著作権譲渡は無しで、完成までのリテイク作業も3回までという取り決めで…1体20万くらいでどうですか」

という、見積もりを受けたあとに、発注側からの価格交渉が必要だったと思います。

まぁ、どうしても著作権譲渡が必要だったのかもしれないですし
そもそも「リテイク○回までにしますので、○○万円で」というような細かい交渉を
公務員ができるとは思わぬ。

それに結果的にその価格で予算決済通ってるので
富山市に税金納めてる富山市民でもない外野がとやかく言うことではないのですが。

いや~それにしても、あのキャラクターに200万円か…。
なに? 富山市大富豪なの?


あと全然関係ないですが、上の「ろかるちゃ!」のサイト調べてたら
知らないうちにアニメ『ゆるゆり♪♪』に出てくる温泉に“聖地巡礼”してた。笑。

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でも俺のほうが先(2010年)に行ってるので
順番から言うとむしろ聖地巡礼された側」ですよ! 笑。