明日はもうすこしマシにします

日記のブログです。ヤフーブログから引っ越したので過去記事には不具合があるかも(2019年10月)。見たり読んだりししたものや考えたりしたことを忘れないうちにメモっておこうというもの。ヤクルトファン。

台風が過ぎて風の匂いが秋

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台風のあいだじゅう閉めきっていた家の窓と扉を開いた。
湿度と気温の低い、それでいて嫌な感じのしない乾いた風がどっと入ってきた。
まるでロンドンの空気のようだ、と、何事につけても単純なワタクシは
数少ない大学時代の海外旅行の経験から思った。

こざっぱりとして爽やかで物悲しい北陸の秋の空気が
もう5年も前の旅行の経験を瞬間的に、鮮やかに蘇らせた。

死の匂いと 祝祭の匂いがする。

という、最近読んだヘルマン・ヘッセの『聖金曜日』という詩の一フレーズに
どこだか名前は忘れたけどロンドンの有名な古い教会の荘厳な雰囲気を思い出した。

直径3メートルはあろうかという大きな丸いステンドグラスが光を透すその教会に
一緒に訪れた友人はハンチングかなにか、帽子をかぶって入っていったので
祭壇の前で、警備員か、教会の坊主か、神父に、ゼスチュアで帽子を取るように言われ
慌てて脱帽していた。

「考えてみれば観光地になっているとはいえ教会は日本で言えば寺だ。
. 寺で帽子をかぶったまま参拝していいわけがない。俺が悪かった」

と教会を出てから自身の不明を恥じていた。
そうだなあ、教会というのは、日本で言えば寺だなあ。
とワタクシもその言葉にうなずいた。

つつましいバイト代と奨学金(これはまだ返済高がかなり残っている)から旅行費を捻出して
常識はずれの円安ポンド高の中無理していったロンドン旅行だったけれど
そういった実感とか、あの乾いた空気の感覚を
こういった何かささいなきっかけでふと思い出すと
まあ、行ってよかったな。と、何事につけても単純なワタクシは思うのだった。