明日はもうすこしマシにします

日記のブログです。ヤフーブログから引っ越したので過去記事には不具合があるかも(2019年10月)。見たり読んだりししたものや考えたりしたことを忘れないうちにメモっておこうというもの。ヤクルトファン。

漫画『凍りの掌(こおりのて) シベリア抑留記』おざわゆき

イメージ 1

画像は漫画『凍りの掌』。
床は友人・T氏の家の床。

作者の父によるシベリア抑留の体験を元にまとめた漫画なのですが
この内容が…壮絶です。
これまで多くの戦記漫画や
それこそ『はだしのゲン』をはじめとした悲惨な戦争体験を元にした漫画は多くありましたが
“シベリア抑留”をテーマにした漫画は寡聞にしてしらなかったので
この漫画を読んで改めてその過酷さを感じましたね。

マイナス30度の中奴隷的労働をさせられ
ろくな宿舎や食料も与えられず
体力がなくなったものから死んでいくという…。
なんとも…悲惨な状況がとつとつと描かれています。
(そもそも捕虜による強制労働は国際法違反だったような気もしますが)
(まぁ日本も泰緬鉄道建設とかで使ってたみたいですけど)

途中
「日本人が敗戦の瞬間から中国人らに略奪されたりするのは
. 満州という傀儡国家を作り上げてこれまで虐げていたのだから
. やり返されるのは当然だ」
というようなことを、敗戦当時の“父”がセリフで語るように描かれているところだけは
あまりに現代の価値観を当時の人が持っているように言わせているようで
違和感が有りましたが、
あとがきなどで「現在の父から聞き書きしたことをマンガ形式にまとめました」と
制作の手順をハッキリと言っているので
もう60年? 70年近く昔のことを思い出して語っているのだから
多少そういうことが入っても仕方あるまいと納得はできます。

しかしそういううそ臭さは本当にその箇所だけで
あとは長くて辛いシベリア抑留のエピソードが続き
その迫力というか、悲惨さというか、それでいて冷静なしゃべり口になお恐ろしさが募ります。

たぶんなんですけど
本当に辛い思いをした人がそのことをしゃべる時って
やっぱりなんか淡々とした口調になる気がするんですよね。

最初から最後まで
そんな感じの温度感で描かれます。
どうやら作者は少女漫画出身で、表紙のように可愛らしい絵柄がずっと続きますが
それでも出てくる人たちがみんなもうチャカチャカ死んでいくので
なんとも…。

なんでも元々は同人誌として発表された作品なのだとか。
知名度が低いのはもったいない!
良作なのでもっと売れろ!!

< 文化庁メディア芸術祭 歴代受賞作品『凍りの掌』 - 文化庁 >

< 極寒地獄から描く戦争のプロセス「凍りの掌 シベリア抑留記」 - 深町秋生のコミックストリート>

< シベリア抑留 - Wikipedia >

Wikipediaの↑「経験した著名人」項をみると
本当に多くの人がこの戦禍に巻き込まれたことがわかります。
この項目に乗らない名も無き人々の実際が描かれている漫画なのだと思います。