秋葉原のドリップコーヒー
画像は秋葉原を歩いていて見つけた立て看板。
自家焙煎…?
ハンドドリップ…?
コーヒー380円から…?
いいじゃないですか…。
こちらがお店。
路地裏の寸詰まりな場所にあって、かなりの隠れ家感。
秋葉原、と書きましたが結構な裏通りで公園スペースの横でもあり
中央通から少し離れるだけで街の喧騒から隔絶された空間という印象すらあります。
おお… なんだかいいじゃないですか…
ペンキで白塗りで手作り感あって…
入ってみるとハットをかぶった栗原類みたいな店員が
柳の下の幽霊のように佇んでおります。
おお… なんだか雰囲気あるじゃないか…。
カフェの店員っぽいオサレさを兼ね備えているじゃないか…。
彫りの深い目鼻立ちと、細身の体躯にシャツとハットがよく似あってるじゃないか…。
店内も白いペンキで塗ったウッドデッキみたいなものが使われていて
なんだか裏原宿にありそうな個人経営のカフェみたいじゃないか…(しかし想像である)。
そう広くない店内に先客は女子2人。
適度に距離をとってテーブルに座るも
店員が…動かない。
おお… なんだおいこの店員、俺が見えてないのか…。
しかしメニュー表も欲しいし店員を呼ばなければいけない…。
「すいません」
店員「」
「えっ?」
店員(ちょっと待ってください)
「えっ?」
店員(ちょっと待ってください)
声が小さすぎる…。
思えば「いらっしゃいませ」の一言もなかった…。
(言っていたのかもしれないが聞こえてこなかった)
店の隅にある本棚には割と漫画が多め。
その本棚の一番上には『風の谷のナウシカ』の漫画版が自慢気にズラリ。
あ~… そういう感じね!
「いやボク… オタクなんですよ…」
って言っちゃうタイプのイケメンのサブカルかぶれの感じね!
だから室内なのに帽子かぶってんのね!
なんか柄の付いたシャツ着てんのね!
吉祥寺に住みたいタイプの野郎ね!
…いけすかねえ!
笑。
そいでこれがこだわりのコーヒー。
喫茶店なのに入店時の「いらっしゃいませ」も
退店時の「ありがとうございました」聞こえてこない店だったので
なんか雰囲気とかコーヒーの味がいくら良くても、結局そういうところがダメだと全然ダメ。
最初の一歩でつまづくと
「オシャレな内装」は「いけすかねえ感じ」に変換され
「オシャレな店長」は「いけすかねえ店長」に変換され
「こだわりのコーヒー」は「いけすかねえコーヒー」に変換されてしまうのですから
やっぱり接客って大事です。
そんな感じで飲むコーヒーは
どれだけこだわってようが美味しく感じない。
(まぁ、普通でした)
別に居酒屋甲子園的な怒鳴り声をあげて挨拶をしろとは言いませんが
おしゃれな感じのカフェで「いらっしゃいませ」の一言も言われないと
なんなの!? オレのこと嫌いなの!? なんでそんなスカシてんの!? やる気あんの!?
という、語尾に「!?」を4連撃でつけたくなるくらいの気持ちになります。
だからオシャレも諸刃の剣というか、一長一短です。
こだわりが出ている分、ワガママさも感じさせてしまう。
けれどいま検索した食べログ記事でも
< ハナノキ - 食べログ >
低い点数をつけている人が同じような感じだったらしいので
なんか納得。
だいたい思ってることは同じです。
俺だけにでなく、わけ隔てなく無愛想で接客がちっともなっていないのだった!
要するにもともとそういう人付き合いが苦手で内向的で凝り性で
興味が内向きに向いているコーヒーオタクが開いてしまったお店なのだ。
そういう、ちょっと常識的な喫茶店の接客から外れている店主がやっていると
事前にわかってからいけば、むしろそれは売りになりえる。
だってたぶんこれを知ってから行った人は
(あっマジで声小せえ!)
ってなるって!
別に俺のことが嫌いなわけではなくて
ただひたすら、愛想いい接客というのが苦手な喫茶店…
それを踏まえていけばむしろいい店になると思います。
じゃあもう接客業やめちまえよ!
と思うのも当然とは思いますが。
まあそういう人も世の中にはいるでしょう。
接客できない喫茶店店主というのも面白いでしょう。
血が吸えないバンパイアとかベジタリアンのライオン、みたいな感じがしないでもないけど。
やっぱりそれはそれで面白いでしょう。
なので、なんか、ひょっとしたらまたこのお店いくかもしれません。
声が小さいことを確認しに。
店主のことはコーヒーを淹れる人間型アンドロイドとでも思えば腹も立つまい。