明日はもうすこしマシにします

日記のブログです。ヤフーブログから引っ越したので過去記事には不具合があるかも(2019年10月)。見たり読んだりししたものや考えたりしたことを忘れないうちにメモっておこうというもの。ヤクルトファン。

2015/7/20 大日本プロレス両国国技館大会「両極譚」の思い出

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画像は両国国技館
今日行ってきました。

何があったかというと…


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プロレス!

大日本プロレスというプロレス団体が
20周年を迎え、20年めにして初めての国技館大会を開催したのを見に行っていました。

大日本プロレスという団体は、アブドーラ小林に代表される
蛍光灯デスマッチ」が有名で、今日もその集大成といえる「20周年記念20アイテムデスマッチ」という試合が
ありました(アブドーラ小林VS伊東竜二)。

ですが、最近はクラシカルなストロングスタイルのプロレスも人気で
メーンイベントは関本大介VS岡林裕二という、まさにプロレスラーというふたりの闘いがあり
その内容はまさに両極端。

かたや注射器を頬に刺しながら塩をぶちまけながら剣山の上にボディスラムを投げながら戦い
かたやラリアットパワーボムを主な武器として戦う昭和スタイルと言っても過言ではないプロレス。
うーむ。

一見するとその両者はかけ離れていて
試合内容も前者は心臓の弱い人にはとても見せられない
痛みと流血にあふれたゾンビのようなレスラーが見られる試合で
後者は古き好きプロレスを愛するプロレスファンにこそおすすめしたいまっとうするぎる試合。

けれど、じつはその両者の本質は同一のものだと感じました。

デスマッチというのは生で見るのは初めてでしたが
まあ恐ろしいものですね。

有刺鉄線の巻き付いた板に! 人を! ぶん投げて! 押し付けて! グリグリして!
いいわけがないでしょう!

何やってるんですか本当に!

今日は蛍光灯こそ出てこなかったものの
のこぎりや、フォークや、上に書いた注射器や(頬を貫通させて刺さったまま顔をぶん殴ったりしている!)「
果てはサボテンや、なんだかもうわからないものまで使って、そして生傷に塩をグリグリ塗りこんで
いやもう、リングの上は想像するだに痛い、見ているだけで痛々しさが伝わってくる
こりゃもう四字熟語で言うと「地獄絵図」そのものという戦いが惜しげも無く繰り広げられていました。

そしてメーンイベントのファイナルでは
関本選手と岡林選手がこっちはこっちで一歩も引かない殴り合い
技の掛け合い、受け合い、殴られたら殴り返す、いや、殴ったら殴られ返す
ラリアットの応酬、コーナーからのダッシュして体当たりの繰り返し、肉と肉がぶつかり合う。
これぞ正にプロレスリングという内容の濃い試合が繰り広げられました。

なんというか。
底に流れるものが一緒なんですよね。

一見、真逆のベクトルで動いているデスマッチとストロング王座も。
デスマッチとは、あらゆる凶器を用いて行う、これ以上ないストロングスタイルの闘いで
ストロングスタイルとは、鍛えぬいた生身の肉体のみを駆使して完遂するデスマッチであると。

そのふたつに通底している精神性、考え方というのは
それこそが大日本イズムなのでしょう。
大日本プロレスの「プロレス道」なのでしょう。

とにかく限界まで。
やりぬく。闘い切る。全力でプロレスをやる。相手を痛めつける。自身の体を傷つける。
相手に技をかける。技をかけられる。それに耐える。そうしてこそ、お客さんが喜んでくれる。

デスマッチもストロング王座決定戦も、やっていることは真逆でも、根っこにあるものはそれではないかと。
そう思ってレスラーたちは戦っているのではないかと。
試合を見て感じたのです。

これくらいやっても相手は大丈夫だ、きっと逆転してくる。
怪我をしても大怪我はしない。
痛くても我慢できる。
そんな相手に対する信頼。尊敬。
そして、同じことを自分がされても大丈夫だというトレーニングへの信奉。

特にストロング王座決定戦は
複雑なムーブと危険度の高い技を競いあうような昨今のプロレスとは趣を異にして
繰り出される技は逆水平チョップやボディスラム、パワーボムジャーマンスープレックスといった
オーソドックスといえばオーソドックス、地味といえば地味な、プロレスらいいプロレス技。

それを全力で、ひたすら掛け合う。殴りあう。
ラリアートを食らわせる。食らう。同時にぶつかる。100kgを超える体重を持った者同士が
全力で殴りあう。

その肉と肉がぶつかる音。
破裂音に似た、リングから数十メートル離れているにもかかわらず
痛さと一緒に届いてくるような打撃音。

その肉音こそが、マットに投げつけた瞬間にマットが巨大な和太鼓のように響いて打楽器に化すその音が
観客を魅了するプロレスの正体だというような
あまりに古い、ストロングスタイルの、教条。
古いだけに正しいその信奉。

技巧を凝らしたムーブなどプロレスにとって余分なものだと断ずるような
剛健すぎるその闘い。

それをぶつけても大丈夫だと相手を信頼している。
同じことをされても自分は耐え切れると、自分を、これまで積んできたトレーニングを信奉している。
死んだらゴメン。

殴って、殴られて、投げて、投げられて、肉体を痛めつけて、傷めつけられて
それでも大丈夫だ。まだ行ける。まだやれる。もっと闘える。
その信頼関係。

それこそが20年めを迎えた大日本プロレスのイズムであろうと。
思った観戦でした。

おわり。