明日はもうすこしマシにします

日記のブログです。ヤフーブログから引っ越したので過去記事には不具合があるかも(2019年10月)。見たり読んだりししたものや考えたりしたことを忘れないうちにメモっておこうというもの。ヤクルトファン。

「ハッ」と気がついたら

イメージ 1

2015年が終わろうとしている。
ええ? 早くない? 冗談でしょう。俺の感覚ではまだ夏が終わったくらい…。
せいぜい10月か11月…。

しかしテレビでは『マッサン』のダイジェスト総集編を放送していたし
パソコンの右下にあるカレンダーには2015/12/30と出ているし
12月生まれの俺もいつの間にか30歳になっているし
どうやら本当に年末が訪れているようなのだった。

困りますね…。

今年はどんな一年だったかということをつらつらと思い出すと
東京ヤクルトスワローズが14年ぶりのリーグ優勝を果たしたというこの一事だけで
今年はいい年であったと思わざるをえない。
いや、実際、いい年であったのだ。

あと何年かして、2015年というのはどのような年だったかなあと思い出すときに
あっそうか、ヤクルトが優勝した年か…。と思い出すようになるであろう。
少なくとも、俺個人と、全国2000万人のヤクルトファンたちにとっては。

これまで2013年、2014年は、2年連続の最下位に沈んでいたのだ。
それも並の最下位ではなく、控えめに言ってぶっちぎりの最下位だったのである。
去年、おととしの惨状(惨い状態と書いて惨状というのだ)というのは、
思い出したくもない、思い出せない、なぜあんなことになってしまったのか

考えたくもない…。

というような残念な成績で、バレンティンの60HRや、
山田哲人の日本人右打者最多安打記録(なんともって回った記録だ)があったものの
やはり最下位というのは、優勝がプラスの方向にそうであるように、その味は格別で
おしなべて渋面を作ってベソベソとしている屈辱の2年間であった。

今年は、その屈辱をそそいであまりある歓喜の1年になった。
雪辱のシーズンであった。

本当は、年末だし今年1年を振り返る記事くらい書いておこうと思ったのだけれど
今年一年の一番のニュースというのは、個人的にはこのスワローズが優勝したことで
俺にとって一年を振り返る、というのは、ヤクルトの一年を振り返ることにほかならない。

シーズン中盤になっても1位から6位までが4.5ゲーム差に収まっているという歴史的大混戦となったセリーグ
スワローズは、ロマン、オンドルセク、バーネットといったリリーフ陣は強固さを揺るがさず
しぶとく、粘り強く戦っていった。
(やはり去年までと何が一番変わったかといえば、試合後半に投げるピッチャーたちであろう)

去年までのぶちギレ凶暴ピッチャーとは打って変わって
オフにヨガの修行をした(?)成果が出たのか
絶対的守護神と化したバーネットを始めとしたリリーフ陣がしっかりとしたおかげで
「自分たちの戦い方」というのができるようになった。

とにかく先制して、6回までリードを繋げ、1点でも2点でも上回った状態で
7回以降を迎えてリリーフに託す。

そういう考え方であれば、先発陣も「とにかく6回まで」という考え方ができるし
今季リーグ最多登板となった秋吉がいることも考えれば、最低でも5回まで投げ切れば
かなり勝利が近づき、自分の勝ち星にも繋がる。
そう考えることで、先発投手たちも実力の底上げがなされていたのではないか。

さらに打線は、4月から主砲・バレンティンを欠き
5月にはミレッジもいなくなり
打線の全員が日本人バッターとなる「純国産打線」という状態になったりしたものの
流行語大賞にもなった「トリプルスリー」男・山田を始め
首位打者川端、打点王畠山と、強力な打者が並ぶいい状態で続けることができた。

(シーズン後半からは3番打者になった山田哲人だったけど
 春先の「1番山田」というのも、出塁率や盗塁、そして先頭打者本塁打という離れ業も度々飛び出し
 これはこれで好きだったなあ。先制逃げ切りという形にも沿う打線であった)

そうして「自分たちの戦い方」が確立でき、それを崩さなかったことで
6球団がダンゴ大家族になるセリーグ
じわっ、じわじわっ…
と一完歩ずつ追い上げていった戦いは、今思い返しても、まったく胸が熱くなる
ペナントレース」と呼ぶにふさわしい一年間の長くてタフな勝負であった。

試合は、テレビで見たり神宮球場で見たりだったけど
印象深かった試合を幾つか挙げると

・9連敗を止めた東京ドームの試合
・館山復帰登板、復帰初勝利
・マジックを点灯した東京ドーム2連戦
・神宮の優勝決定戦

あたりかしら。
それぞれの試合について簡単に書き添えていくと

まずもう、5月の連敗は辛かった。
開幕からそこまでは調子よく戦えていて一時は首位にも立ち
「今年はいける! 去年までとは違う!」と、色めき立ったのも、つかの間…。

イメージ 2

あっという間に最下位に…。

フ、フフフ……。
うふふふふ…………。


もうね、負けるときは一瞬ですよね。
コツコツ積み上げた貯金も、使い始めたら一瞬でなくなりますよね…。

それでも石山が踏ん張り、なんとか9連敗でストップ。

< ヤクルト連敗9で止めた!石山6回無失点、5投手で完封リレー - スポニチ >

連勝と大型連敗を繰り返す、ここ数年の風潮もこれでなくなり
今年はこの9連敗が最大の連敗ということになった。

それは、新人監督の真中さんが、この連敗でシーズンの戦い方を学んだと語っていたり
この敗けのうちに、負けながら、上に書いた「自分たちの戦い方」を作り上げていった
こともあるかと思います。
結果から言えばこの連敗も、「雨降って地固まる」という、いい方向に裏返りました。

<真中監督×石井氏対談】糧となった5月9連敗「動くほど泥沼にはまる」 - スポニチ>

>真中 正直、連敗が続いた時は、俺もこれからどうやっていけばいいのか迷った。
>でも、6連敗した時に相手チーム(阪神)も連敗していたんだけど、
>その監督の動きや采配を見ていると、普段こんなところで送りバントするの?とか、
>普段ならこういう動きはしないよね、というのがあった。
>俺も多分、こうなってるんだと感じた。
>結局、負けが続くと何かを変えなきゃいけないとなるでしょ。
>でも泥沼って、動けば動くほどはまる。そこで少し冷静になれた。
>開幕1カ月ぐらいで、これだけの試練を与えてくれているんだと、少し前向きになれたかな。

この試合は、普段は東京ドームって行かないのですが、たまたま観に行って連敗ストップの瞬間を目の当たりにできたという意味でも印象深い試合ですね。
(試合途中から入ったので、東京ドームの立ち見1000円。チケット売り場のお姉さんが「見られない可能性もありますがいいですか?」と聞くくらいの混雑具合でした。じゃあ売るなよ!神宮球場では考えられないことだ…と思ったけど、結果的には柱の陰からチラチラ見られた)

今見ると、試合時間が2:25で、超ハイペース試合だったみたい。
でも現地ではなかなか終わらなかったという記憶があります。
2点リードのままリリーフ陣にタッチして、あとは両手を合わせて
ひたすらグラウンドを拝んでいたような気がしますね。

館山の復帰登板は泣きましたね、ボロ泣き。ボロボロ泣いた。
神宮まで観に行って、館山が球場に入ってきた瞬間にスタンドから自然発生した拍手で泣く。
さらにスタメン発表の「9番、ピッチャー、館山」というアナウンスで泣く。
えーんえーん。(←かわい子ぶった泣き方)
おーいおいおい。(←実態に近いが文学的表現)
うう、う…グズ…グスグス…ズズッ(鼻をすする音 (←実際にはこんな感じ)

復帰登板では代打高橋由伸に打たれて勝ちをつけることはできなかったものの
その次の週の登板ではしっかり投げて1019日ぶりの勝利!
館山はこの後も勝ちを重ねて、見事に「カムバック賞」を獲得しました。

(余談ですが、3DSのゲーム『プロ野球 ファミスタ リターンズ』では
 館山のカードに「優勝へのラストピース」というキャッチコピーがついていて
 誰がつけたかしらないが、まさに正鵠を射た表現となりました。お見事!)


<ヤクルト館山「感謝」 セ・リーグのカムバック賞受賞 - スポニチ>

いやもう、なんか、神宮のマウンドで館山が投げているというだけで
泣けてきて、泣けてきて…。
試合なんてまともに見れたもんじゃありませんでしたね。
見ろよ。
笑。


そして今季1番の重大試合となった、9月26日、27日の東京ドーム2連戦。
この2試合中1試合に勝てばマジックが点灯する、2連敗するとゲーム差なしに追いつかれてしまうという
まさにまさにの天王山。
(この前の阪神2連戦も天王山と言っていた気がする。とにかくゲーム差がないので、天王山が連なっていて
 天王山脈になっていたシーズンだったのでした)

1試合目は山田のレフトポール直撃3ランで先制するも、その後じわじわと追い上げられて
ついに同点、さらに逆転を許し、リーグ連覇中の覇者・巨人の勝負強さというのものを
思い知らされた試合となりました。

追い詰められた2試合目、我らが小さな大エース、石川雅規が、男を見せた。
(試合後に明かされたことですが)発熱を押しての先発登板。

得点圏までランナーを進めながらも、石川の身上とも言える「打たせて取る」ピッチングで粘り
この試合の大きな分かれ目となった5回。

先頭の雄平がレフト前ヒット、今浪が内野安打で続くと、8番の中村は送りバントを選択。
1死2・3塁として、打順は投手の石川へ。
マウンド上は巨人のエース・菅野。
ストレート、カットボール、ストレート。
ストレートが2球外れて、2ボール1ストライクからの4球目。

ジャイアンツのキャッチャー小林は、石川の膝先にミットを添えるようにして内角要求。
しかし、菅野が投げたスライダーが外角に抜ける!
内側に切り込んで、空振りか内野ゴロを狙ったであろうスライダーが
逆に外のボールからストライクゾーンに入ってくる!
背の低い石川、精一杯腕を伸ばしてボールに食らいつく!
バットにチョコンと乗せるようにコンパクトに捉えたボールが
前進守備のセカンド・片岡の樹上を超えてライト長野の前でワンバウンド!

サードランナーの雄平がホームに帰ってくる!
先制点!
石川がファーストベース上で大きく吠えた、吠えた、吠えた!
雄叫びを上げ小さな両拳を握りしめて、ガッツポーズ!
ピッチャー石川、なんと自らのバットで先制タイムリー!

…というように、こうして映像を見ながら当時の様子を書き出しているだけで
血圧と体温がグググッと上がってしまうような劇的なシーンで
(なんと目に涙も浮かんでくるのだ)
この試合はこのあとの上田のゲッツー崩れでさらに1点。
その裏に1点返されて(ここで雄平のファインプレー!)、結果的に2対1で勝利しました。

シーズンが終わってみて振り返ると、正にこの試合、
このワンプレーが優勝を決定づけるプレーとなったのでした。

<混セに終止符!石川“熱”投&V打でヤクルト14年ぶりVへM3 - スポニチ>

今年は、石川と館山という、長くチームを支えてくれた両ベテランが報われた…
そういう、いい優勝になりました。
(良い優勝と悪い優勝があるのかは知らないが、とにかく、いい優勝でした)

個人的に「今年一番印象的な試合」というのはこの(2)試合ですね。
テレビ観戦だったのですが、とにかく緊張した!
用意していたビールも喉を通らず、食い入るように画面を見つめて
気がづけば3時間。試合終了。
握った手のひらに爪の跡が着くくらいぎゅっと拳を握りしめてしまっていたり
見ていて本当に胃が痛くなりました。
念を。
念を送っていた。
テレビを通して東京ドームに届くように。執念を。

そしてそして、優勝決定戦。
10月までもつれること自体が珍しいのですが
なんてたってドラマチック・スタジアム神宮。
神宮劇場。
27日のマジック点灯(3)の翌日、ヤクルトが勝ち、巨人が負け、マジック1となったまま
10月1日に予定されていた試合は強風、悪天候のため中止に。

この試合のチケットは全席が前売りで完売していたのですが
チケットの振り替えは行われず、再販売に。

このため、10/1のチケットが手に入っていなかった俺も、朝からコンビニに並んで
なんとか外野自由席を1枚手に入れることができました。

僥倖……!

マジック1とはいえ、残り試合を巨人が2勝、ヤクルトが2敗してしまうとゲーム差なしとなり、
シーズン最終戦が優勝決定戦になる「10.6」のような試合になる展開も考えられていました。
そうしてこの10/2は今年の神宮最終戦

この日に決まらない限り、神宮での胴上げはありません。

とにかくさまざまな思惑が入り乱れる中で
その試合は行われました。

(仕事を途中で抜けだして)神宮球場につくともう満員も満員。いわゆるひとつの超満員。
なんとか一人分の空席を見つけて腰を落ち着けました。

球場は優勝を願うヤクルトファンが詰めかけて
館山の復帰登板試合ともまた違った、一種異様な雰囲気が充満していました。

試合前から緊張して、のどが渇いてしょうがない。
しょうがないからビールを飲みます。飲みますね。
(振り返るとこれが良くなかった)。

初回に1点を先制するも、その後は膠着状態…。
先発小川と阪神岩田の投げ合いになりました。

そして8回にピンチが訪れます。
秋吉が2死から西岡にヒットを打たれ、リリーフした久古は鳥谷にヒットを打たれ
ツーアウト1・3塁に。

一打同点の場面、阪神は満を持して「代打の神様関本賢太郎を打席に送ります。
ヤクルトサイドは投手コーチ高津がマウンドへ行き、球場にピッチャー交代のアナウンスが流れました。

「ピッチャー、久古に替わりまして、バーネット」。

歓声に沸くライトスタンド。
ブルペンから少し歩を進め、ライトのファールラインあたりから走っていくバーネット。
彼の背中に、満員のスタンドから、拍手が送られます。

気合が入っている。
気合が入っている男というのは、背中を見ただけでわかるものです。
その時のバーネットは、拍手に応える背中をしていた。

なにしろ、あと4つアウトをとれば、優勝なのです。

一生に何度もない、1回あるかもわからない、そういう場面で満員の観客に送り出され
これはもう、野球選手冥利、ピッチャー冥利に尽きるというやつでしょう。

しかし。

試合後に「関本は初球から来るぞ、と、ひと言いってやればよかった…」と高津コーチが述懐したように
簡単に投じた(ように見えた)初球のボールを、代打関本、基本に忠実なセンター返しで
阪神にとっては起死回生の同点タイムリー!

優勝とは、優勝とはなんと、難き山であることか…。
ここまで来て、目の前に近づいた優勝が、そのタイムリーで、スルリと逃げて行ったようです。

3万人のため息に包まれた神宮球場でしたが、その後はバーネットが9回も抑えて試合は延長に。
10回、11回はランナーを出しながらもロマンが抑えて
「これは引き分けもあるな……」という雰囲気が漂い始めた11回裏。

2・3・4番という好打順で始まるこの回、川端がヒット、山田が三振、川端のスチールと悪送球、畠山がヒットで続き1死1・3塁。
いつ頃からか正確な時刻は覚えていませんが、22時を回った神宮球場は鳴り物がなくなりアカペラ応援に。
ヤクルトファンの肉声のみがスタンドに響きます。

ロマンの打順で出された代打は田中浩康
山田の台頭でレギュラーポジションを奪われたこの男が
新年の絵馬に書いた言葉は「受け入れる」。

初めての外野守備にも挑戦し、代打での出場が多かったシーズンとなりました。

その男が、優勝を決めるか。
コンパクトに振り抜いた打球はライト線を襲う! ライト前! ライト江越! 江越が滑りこむ!
取るのか、取ったのか! 取った! アウト!

アウトォ~~~~~~~~~~・・・ アウト…。

2死1・3塁に代わり、バッターは雄平。
ライトスタンドは延長に入ってから、攻撃のたびに総立ち。
打席の雄平に向けてはチャンステーマ夏祭りのアカペラ大合唱。
秋の神宮の杜に、応援歌とメガホンを叩く音が響き渡ります。

雄平は、持ち味でもある、体がバラバラになりそうな程のフルスイング。
2B1Sとなって4球目。
内角へのボール、引っ張る、抜けた、抜けた、抜けた。
歓声。
左手を突き上げる雄平。
サードランナー川端、ホームイン。

歓声、嬌声、怒号、泣き声、大歓声。わあわあ、わあ、わあわあ。
不意に頭上に伸びる影、紙テープが投げ込まれている。舞い散る紙吹雪。
サヨナラだ、サヨナラ勝ちだ。
つまりこの瞬間、優勝だ、優勝だ。優勝したのだ。
いや紙吹雪は舞い散ってなかったけど、気分的には舞い散っていたのだ。

あー、あー、ああああー。

よかった、優勝できてよかった。
9月頃は毎日、家にある神社のお札に柏手を打って
「ヤクルトが勝ちますように、いや、選手たちが、持てる力を存分に発揮して、全力のプレーができますように。それだけできれば、100%のプレーを見せてくれさえすれば…」
なむなむ。と、お願いしていた甲斐があった。
(なむなむはまちがい)

スワローズの選手たちは
なんというか、みんなイイヤツたちばかりで
本当に優勝できてよかったという気持ちでした。

優勝を知らないベテラン投手の石川が、館山が、優勝の味を知ることができて本当によかった。

本当によかった。
ヤクルトが優勝できてとてもよかったので、今年はいい年だったということになります。

そう書くと本当にそういう感じがしますね。
いいと思います。

それでは良いお年を。