ちょうどよさをさぐる

去年のブログ記事を眺めていていろいろと思い出した。
「いい文章」と言うと直截的過ぎるけど、なにかいつもと違うことをして、人の心に残るとか、胸を打つような文章が書けないかと工夫を凝らしてみようと思っていたのだった。
思い付く例えや浮かんだ感情をとにかく詰め込んで並べるようにしていた。
ぎゅうぎゅうに詰め込んでいた。
いま見返すと、どうやらそれは過剰だったようだ。たしかにそれはその時感じたことだとは思うけど、全部の行に漏れなく力が入っていて、肩に力が入り過ぎていて、文章が少し窮屈に見える。
もっと楽にしていい。
そんなに焦らなくても大丈夫なはずだ。

去年の秋に姫リンゴを買った。それもひと袋どっさり、大量に買った。
最初は生のまま食べてみたけど、ジャリジャリと砂のような食感で、食べきれない。
結局、皮ごと細切れにして、同量くらいの砂糖と煮詰めて、ジャムにした。
煮ると皮の色はより赤く、濃く、鮮烈になった。
それをただトーストに乗せて食べていた。あの鮮烈な味わい。ただのジャム、砂糖と似ただけで生まれた強烈なさわやかさ。自然体で生まれた記憶に残る味。

無理はしなくてもそういうものは生まれ得るはずだ。