明日はもうすこしマシにします

日記のブログです。ヤフーブログから引っ越したので過去記事には不具合があるかも(2019年10月)。見たり読んだりししたものや考えたりしたことを忘れないうちにメモっておこうというもの。ヤクルトファン。

映画『レディプレイヤーワン』感想

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先日、海外出張で長時間飛行機に閉じ込められていました。
日本人の中でも体の小さな僕でさえ窮屈を感じるあのエコノミークラスの座席に、アングロサクソンの巨人たちはどうやって我慢しているのでしょうか。

外国の街を歩いているとお相撲さんみたいな巨体をちょくちょく見かけますが。
外国は両国に近い。

さて。
そんな機内で楽しみというか、唯一時間を潰す方法があるとすればあの小さな液晶画面で観る映画です。

「あっ、これ観ようと思ってて観られなかったんだよなぁ」という作品が入っていればラッキーで、今回はそれがありました。

この『レディプレイヤーワン』は、主人公がゲーマーで、おもにVRゲーム空間の中でストーリーが進行するというもの。

見終わってから知ったのですが、スピルバーグ監督作品だったのですね!
古くから活躍する監督だけに意外というか、でも『ジュラシック・パーク』(1993年)でCGを多用したり、更に遡れば『E.T.』(1982年)でVFXをフルに使っていたりして、思えばCG的なもの、最新のテクノロジー的なものにはもとから興味津々で実際に使っていた監督でもあり、その人がまさに最新技術のVR、そしてVRを使った世界空間に興味を示すのは、自然なことだったかもしれません。

映画館ではなく飛行機のモニターでぼんやりと見ていたということがありややあやふやなのですが、あらすじや設定を思い出しながら書きます。

アメリカの低所得者世帯に住む主人公は、VRのオンラインゲームに入り浸る日々。
ヘッドセット型のディスプレイを身に着け、現実世界ではできないドライブや激しい戦闘などに没頭する日々です。
(マンガ『ルサンチマン』とかアニメ『ソードアートオンライン』を思い浮かべればよろしい)

そのゲームには、開発者によるイースターエッグ(隠しプログラム)が仕込まれていて、3つの鍵を手に入れたプレイヤーはそのゲームの権利を手に入れることができるといいます。
全世界に浸透して楽しまれているゲームですから、その価値は測れない、少なくとも国家予算並であることが想像されます。

そんなチャレンジを続ける中、ひょんなことから有名美人プレイヤーと知り合い、1つ目の鍵を手に入れ一躍有名人になります。
ところが同じく鍵(ゲームの権利)を手に入れようとしていた悪の企業に妨害されたり実家を爆破されたりてんやわんや。

信頼できる仲間もでき、美女とも仲良くなり、果たして主人公は3つの鍵を手に入れることができるでしょうか…!


そして、感想。

全体としておもしろかったです!
未来のVR空間ゲームの描写として、現在想像できるものから正しく、違和感がないし、ワクワクします。
DooM』や『ストリートファイター』や『オーバーウォッチ』や『HALO』など、いろいろな実在のゲームからキャラクターがアバターやアイテムとしてゲスト出演しているのも楽しいですし、ストーリーの本筋もアクションありサスペンスあり恋愛あり友情ありニンジャありと、盛りだくさん。
エンドロールでスピルバーグ作品だと知ってとても納得できた娯楽大作に仕上がっています。

で、唯一欠点というか疑問が残ったのは、ラストが「VRもいいけど現実世界も大事だからね、なんてったって、現実世界が唯一本当のリアルだから」というセリフで締められるところ。

まぁ、そりゃ、そうなのだが。

現実世界がリアルなのだが。

この映画で、それを言っちゃあおしめえよ…というか、映画のテーマ的なものを全部ひっくり返してやしないかという思いが胸に去来します。
それに(スタンドアロンVRゲームはともかく)、オンライン常時接続な多人数参加型オンラインゲームなのであれば、ネットを通じてやり取りしている相手は現実の人間なわけで、つまり電話やメール、LINEと本質的に変わりません。
あえて言うならネットもリアルなのです。
だからこそプレイヤーはその場所、みんな友だちが集まる居場所を守ろうと、自分の命…アカウントを懸けても戦うし、団結することができます。

そういう…そういう話をエンディングまでかけてしてきたのではないのか!? と思わずにはいられません。

で、これは想像なのですが、ひょっとしたらこのエンディングは公開前の試写会で観客の意見を取り入れて採用されたものではないかなあと。
最近は事前の試写でアンケートを取り、結末をより観客の満足感が高まるように変えてしまうことが多々あると聞きます。(『アイ・アムレジェンド』とかそうだったと何かで読んだような)

そう考えると、最後の最後に作品のテーマと真逆を行ったそのセリフもしっくりくるんですよねえ。
もちろん一般感覚として、VR機器というのはまだ浸透していませんし、「ネットもリアル」という認識は、老若男女誰でも手に入れているものではないでしょう。
その世の中の多数派に、嫌な言い方をすれば迎合する形で生まれたエンディングではないでしょうか。

もちろんそれで多くの人が納得して楽しめる映画になっているので、成功といえば成功なのでしょうが、そこまでノリノリで観ていた身としては、最後の最後に説教臭いことを言われてナンダカナーと感じたというのも事実です。

ただそこに至るまでは、ゲームキャラ出演あり、映画パロディーありでフェスティバルしていてとても楽しかったですよ(ガンダムが出てくるところでなんか泣いちゃった)。

ラストの違和感という欠点を除けば、ゲーマー諸氏にぜひオススメしたい作品です。