明日はもうすこしマシにします

日記のブログです。ヤフーブログから引っ越したので過去記事には不具合があるかも(2019年10月)。見たり読んだりししたものや考えたりしたことを忘れないうちにメモっておこうというもの。ヤクルトファン。

『ハプスブルグ家』(講談社現代新書/江村洋)

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結構前に読んだ本なのですが
感想をまとめてあったけどUPしてなかったので。

.txtにまとめてあったものをコピペするだけなので
語尾とか内容とか雑になっているのはご容赦くださいな。

たしか旅行中によんでた本です。
文中で小難しい言葉が一杯使われてて後から調べた。

■感想

まぁー読むのに時間かかったね。
というか実質的には旅行の移動中にだけ読んでたから
いちにちふつかで読み終わったんだけど、
読み始めるまでに鞄に入れたまま一ヶ月間くらい寝かし続けていた。

で、その内容なんだけど
中世から近世ヨーロッパを血縁によって支配し続けたハプスブルグ家の
概要ですね。

このハプスブルグ家を追えば中近世ヨーロッパの概論も追うことができるという感じ。
日本では天皇家の歴史がイコールそのまま日本の歴史になるということがあるけど
中近世ヨーロッパにおいてはハプスブルグ家がそれに当たるかもしれんという感じ。

「ハプスブルグ家はヨーロッパ史の背骨である」というのが表紙に書いてあった。
ヨーロッパ史においてキリスト教を対をなす歴史の縦軸である「王朝」の
700年近く続いた、ヨーロッパ史上最大の王朝がハプスブルグ家なのだ。

その原因というか確固たる地位を築けた要因は血縁である。
他国が戦争と侵略で支配地域を増やそうとする中
ハプスブルグ家は政略結婚と出産で支配地域を増やし続けた。

中でも特筆すべきはマリア・テレジアで、王女をやりながらなんと16人(!)の子供を生んだとか。
すごいよね。

「戦は他国にさせておけ。幸いなるオーストリア(ハプスブルグ)よ、汝は結婚せよ」

…他国が戦争と武力で支配地域を増やそうとする一方、オーストリアは血縁の力によって
影響力を及ぼせる地域を増やしていったということを表現した言葉だとか。


■世界史の素養がない!

まぁーでもつまりですね
そのハプスブルグ家がヨーロッパで勢力を誇った700年のヨーロッパ史を一気に振り返るような内容ですから
高校の授業で世界史を選択せず世界史Aだけ取って「どうせ入試で使わないし…」と薄ぼんやりとして
教室の窓の外の青空と白い雲を眺めてすごしていた俺には
はっきり言って当時のヨーロッパ情勢がサッパリわかりませんでしたわ。

そうして過ごしていた「世界史A」の当時のテスト結果は推して知るべしというものである。

地図とか勢力図とかね、どうしても画像イメージが弱いからね活字媒体では。
世界地図(ヨーロッパ地図)を見ながらとか
どこの国がどこの国に攻め込んだかというようなことはNHKとか動画が一番わかり易いですね。

あと「神聖ローマ皇帝」という概念がいまいちよくわからなかった。
ローマ法王と並んでキリスト教のトップの地位でもあるらしいんだけど
神聖ローマ帝国という概念が、それは「国家」ではなくキリスト教圏の寄り合い? みたいな感じ。

しかしそもそも近代以前の「国家」という概念が同じ民族の寄りあい的な面が大きいし
なんかもそうの辺がごちゃごちゃでわからんようなった。

近代で言う「国家」とは中央集権体制のことなんだね。
中央を上において地方が一枚岩に固まって、上意下達が疎通されている状態。

それ以前の国家は町内会みたいなもの。
それぞれの家(所領)はそれぞれの家長(領主)が治める。
で、神聖ローマ皇帝は町内会長。

で、その領地を媒介とした支配体制を封建主義という、と。
その西洋史の概念を日本史にいきなり持ってくるから封建主義って言われてもピンとこんのや。

と思ったけど「封建」の語源は中国の古典らしい。
「封土を分けて諸侯を建てる」の意だとか。
中国大陸の周時代に行われたという。BC1100頃~256。紀元前かよ!
すごいなあ。

というわけでヨーロッパ史よりも難しい漢字とか国家とは何かというようなことについて深く考えをめぐらしました。
なかなか…。
中近世ってヨーロッパ史も日本史も詳しい風俗とかわからないわ・・・。


■文中で意味のわからなかった単語たちや心に残った小ネタたち

揺籃(揺籃/ようらん)
…ゆりかご。字見たらまんまやね。揺籃歌…子守唄。

薨ずる(こうずる)
…皇族または三位以上の人の死去。薨去(こうきょ)、薨逝(こうせい)

ヴィルヘルム・テル
ウィリアム・テル明治10年代には日本に輸入されていたという物語。
テーマはスイスの独立。悪代官ゲスラー(ゲスっぽい名前)を射殺するのは正にハプスブルク家の支配を脱却しようというスイス国民の気持ちの現れ。

フリードリヒ三世
…>およそ君主らしくない、みすぼらしい、風采の上がらない無力な男だった。武威猛々しい若者というには程遠かった。世に知られた吝嗇家にも関わらず、常に借金に追われていた
以上引用。ワロタ。
(自分らの権力を維持するために)わざと弱い人を国王に撰んでいったけども
この人が長生きして53年間も神聖ローマに君臨してしまった。

肯綮に中たる(こうけいにあたる)
…意見や批判などが急所をついてうまく当たること。肯は骨につく肉。綮は筋と肉の結合するところ。科学的に言えば靭帯か。

夢寐(むび)
…眠って夢をみること。眠ること、眠っている間。慣用は夢寐にも思わない。夢寐にも忘れぬ。など。

濫觴(らんしょう)
…「其源可以濫觴」(荀子)。長江も水源に遡れば「觴(さかずき)を濫(浮かべる)」ほどの、または「觴(さかずき)に濫(あふれる)」ほどの小さな流れであるという意味。物事の発端。始まり。起源。

供奉(ぐぶ)
…「きょうほう」かと思った…。行幸のお供をする人。

(世事は)逆睹すべからず
…物事の結末を予め見て取ること。「世の中のことは先に見ることができない」

貴賤結婚
…まぁそのままの意味。卑賤結婚、左手結婚という言葉がWikipediaの「貴賤結婚」項目にあるが、意味がわからん。メザリアンス――身分違い

山紫水明
…山は日に紫に映え、水は目に明らかであるという地の形容。風光明媚。

蒲柳(ほりゅう)
…葉の落ちやすい低木の名前で、虚弱なことの代名詞。蒲柳の質。

薫育(くんいく!)
…徳を持って人を導き育てること。薫陶化育。

鼻祖(びそ)
…(中国で胎生の動物はまず鼻から形作られるとされたことから)最初に物事を始めた人。始祖。元祖。先祖。

泉下(の人)(せんか
…黄泉(こうせん)の下。死後の世界。あの世。慣用句「泉下の客と成る」

皇帝とは
…現世における一切を司るものである。彼岸における平安の責を負うローマ教皇と相携えて世界の平和を維持していかなければならない。らしい。へー。

囲繞(囲繞) (=゚ω゚)ノ イニョウ
…周りを取り囲むこと。囲い巡らすこと。イジョウとも。法律用語でもある。

「余はまだフランス王だ! あんな条約など一片の紙切れにすぎない!」
…捕らえられていたフランソワ一世がフランスに帰るなり、捕虜状態から保釈されるために結んだ契約を思いっきり破棄するとのたまったときの男らしいセリフ。ぐうの音も出ないほどの畜生。

端倪(たんげい)すべからざること
…端はいとぐち、倪は果て。事のはじめと終わり。本末。転じて推測すること。測り知ること。「推測できないこと」。

尾籠(びろう)
…無礼なこと。無作法。不敬。汚く、汚らわしく、人前で失礼に当たること。

「道半ば、行動も半ば、手段も半ばにして、決断力もなく、ためらいながらあくせくする」
…グリルパルツァーという人がマティアス帝を評した言葉。まるで自分のことを言われているよう。ぐぬぬ…。

会稽(の恥)
…配線の恥辱。他人から受けたひどい辱め。史記にある会稽山の故事から。

1683年、第二次ウィーン包囲でニェリチェリ軍団が地雷を使って地下から攻撃したとの表記がある。
こんな昔から「地雷」というものがあったのだろうか? 不明

2chで聞いてみたところ、爆薬を木箱に詰めて土に埋めて(城壁の下に埋めて)爆発させたもの。
近代地雷(対人地雷)とは全然別物。まぁ爆弾を地面に埋めて使えば地雷…か?

須臾(しゅゆ)
…10^15分の1(1000兆分の1)であることを示す漢字文化圏における数の単位である。逡巡の1/10、瞬息の10倍に当たる。しばらくの間。暫時。「須臾も忘れぬ」=一時も忘れぬ

白皙(はくせき)
…皮膚の色が白いこと。「長身白皙」。(主に若い男についていう/新明解国語辞典)。けども新書では「白皙の女王」と。

牢固たる
…しっかりして丈夫なこと。「牢固たる城塞」。(確固たるは「たしかな様。しっかりして動かぬ様」だそう。確固たるよりもより丈夫な感じ、重量感がある)

鎹(かすがい)

慫慂(しょうよう)
…傍から誘いすすめること。「慫慂黙し(もだし)難く」。

〇〇公シリーズ
…シャルル突進公、フィリップ豪勇公(ル・アルディ)、フィリップ善良公(ル・ポン。→肝煎りで「金羊毛騎士団」を結成する。中世の華・騎士文化の最後の一華。かっこいい)


まぁこんなところですわ。
世界史ってわかんねー!
でもそこそこ面白かったのは王女をやりながら16人も子供生んだという無茶をしたマリア・テレジアさんのおかげ。
いやホントどうしてそんなことができたんでしょうね。
俺なんて王でもないのに一人もこども産めないわ。いや産めたらすごいんだけど。

旅行に持っていくには、物理的には薄く軽く、内容的には分厚くて重い、
読むのに時間がかかる学術文庫ってなかなかよい。