明日はもうすこしマシにします

日記のブログです。ヤフーブログから引っ越したので過去記事には不具合があるかも(2019年10月)。見たり読んだりししたものや考えたりしたことを忘れないうちにメモっておこうというもの。ヤクルトファン。

『大人の科学マガジン』二眼レフカメラ作った

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というわけで、学研『大人の科学マガジン』二眼レフカメラを作っていきます。
写真はキットと組立説明ページ。
ご覧のとおり結構な部品数と、結構な細かさの工程表が描かれています。

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部品の中にはこんなに小さなバネが使われていたり。
書いて字のごとく「小指の先よりも小さい」バネ。
吹けば飛びそうなバネやネジがあるので
床に新聞紙を敷いて作業します。

新聞紙があると小さい部品が落ちた時にも探しやすいし
もちろんゴミやカスなども散らばらないので
こういった工作や模型を作るときには必須ですね。

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こういった歯車とかをさしたりつけたりして作っていきます。
ちなみにこれは最終的にフィルムを引っ掛けて巻く部分になるはずのところ(たしか)。
この下の歯車に、フィルムの両端にある連続した穴をひっかけて操作します(たしか)。

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製作で最も苦労したのがこのシャッターを作るところ!

シャッターというのは…
…というのをわざわざ説明することはないと思いますが
銃なら引き金、電気ならスイッチ、エンジンならイグニッションキーというようなものです。

基本的にこのカメラのメカニカルな稼働部はフィルム巻き上げ、ピント合わせと
このシャッターだけ。

前2つは完全に手動で動かすので
バネの力を使って作動するような「メカ」は本当にここだけです
そしてこれもバネなのでもちろん電池は使いません。
エコですね。

カメラ内で唯一のメカ部分だけのことはあり
ここを正確に作るのはちょっと手先の器用さが必要です。

ただでさえ細かい部品の先端に、先ほどのノミのように小さいバネの先っぽを引っ掛けたり
バネを掛けたままパーツとパーツを組み合わせたりする作業が必要で
スイスの時計職人のように眉根を寄せてうんうん唸りながら作りました。

「自慢じゃないが恋と手先は不器用なんだ」。(フィリップ・マーロウ

マーロウは嘘です。
シャッターの原理としては

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こうなってるのが

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こう。
この中央部の穴が素早く瞬間的に開閉します。
およそ1/150秒(150分の1秒)。

これはもうとんでもなく素早い瞬間で
1/75秒(75分の1秒)とされる単位「刹那」よりも2倍短い。
1/2刹那秒。


このシャッターが開いた瞬間にフィルムが感光して映像が焼き付けられるという仕組みですね。
デジタルカメラもシャッターの仕組みは基本的に一緒(のはず)です。
違いは映像を受け取るのがフィルムなのか映像素子なのかというところで。

デジカメにもシャッターがあることを確かめる為に
デジカメのレンズをジロッと覗きこみながらシャッターを切ってみたら
やはりレンズの奥のほうでシャキッと素早く動く黒い影が見えました。
(もちろんカメラにはやたら真剣な目で見つめてくる自分の写真が残った)。

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途中で、すでに付けたネジの種類を間違えていたことが判明。
ネジ頭が「ろうと形」になっている「皿ネジ(写真右)」と
ネジ頭の下部分が平べったくなっている「ツバ付きネジ(写真左)」。

本来「皿ネジ」をつけるべきところに「ツバ付きネジ」を入れてしまっていて
途中で「ツバ付きネジ」の数が足りない! なんてことだ! となって気が付きました。
外して付け替えます。

でも見てください。
「ツバ付きネジ」の方が「皿ネジ」という名前にふさわしい格好をしていると思いませんか。

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この辺りまで作ったところで
試しにシャッターを動かして見たところ
最初は「シャカッ、シャカッ」と小気味よい音とともに動作していたのですが
何度か続けていると「スカッ、スカッ」と途中から手応えがなくなり、どうも動いてない様子。

あっ…(察し)。


カメラのレンズになる部分を電灯に向けてシャッターを切ると
本来正確に動いているならシャッターの奥に電気の明るさが眼に入るはず。
しかしこのときは、シャッターレバーを動かしてもまぶたが開かず黒いまま…。

確定。動いてません。


な、なぜだ…。
と嘆いても自分は素人なので原因はわかりませんし
またあのシャッターの細かい作業をしないといかんのか…とちょっと途方にくれましたが
途方に暮れていても誰かがやってくれるわけではないので
作り直しました。

というわけでネジを外したり部品を外したりして再びシャッターを作る工程まで巻き戻して
ネジの閉め具合を調整したりイチから正しく作り直し、ようやく動くようになりました。
このシャッターの具合が実に微妙で
ネジの締め方一回転とか半回転とかできちっと動くか動かないかが決まったりします。

なにこの微妙な力加減… 職人技の世界…。

精密機械を作る日本やドイツやスイスにカメラメーカーが多いというのも納得な作業感です。
少なくとも日々バターを舐めチーズを飲み込みアメフトに明け暮れる巨大なアメリカ人の
芋虫のように太くイヌワシの爪のようにゴツイ指ではこの作業はできまい(おおいなる偏見)。

他にも本来剥がれちゃいけないようなファインダー鏡の
鏡面部分が剥がれるというアクシデントに見舞われたりしたものの…

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なんとか…完成!
作り始めてから完成まで、製作時間2時間ほどでできました。

カメラの仕組み自体は驚くほど単純で
シャッターの組立工程に多少手間取ったものの
まぁ中学校の技術の時間を無難にやり過ごせた一般的な大人であれば
組み立てられるだろうなという難易度。
客観的にみれば簡単と言っていい工作でした。
(主観的にはとても難しいし、部品も作業もやたら細かいし目と神経がくたびれた)。

早速試し撮り!


…と、いきたいところですが
なにしろこのデジカメ全盛時代、フィルムなんてものが都合よくありません。

それでも完成して気分がウキウキなので外へ出て行き
ファインダーを覗きこんでやたらピントを合わせたり
フィルムも入っていないのにシャッターを切ったりして「エア撮影」を楽しみました。

カメラの上からファインダーを覗くと、こんな感じに被写体が写ります。
二眼レフカメラは本体上部にファインダーがあるので
. 撮影のときはうつむいてお布施を願う痩せ坊主のような体勢で撮影します)

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ファインダーはごく暗く、日光くらいの明るさがないと見づらいです。

で、これでこの花を撮ると…

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こんな感じに!


といっても、これはデジカメの「トイフォトっぽく撮れる機能」で撮った写真なので(笑)
本当は「こんな感じに(なる予定)!」です。

実際にこんな感じになるのかどうかは
フィルムを買って、写真を撮って、現像してみないことにはわかりません。

カメラ屋さんに行って
フィルムを買って
写真を撮って
フィルムがいっぱいになったら再びカメラ屋さんに行って
現像を頼んで
時間をおいて
三度カメラ屋さんに行って
お金を払って受け取らなければいけません。

…っめんどくせえなあ!


笑。

つい10年くらい前までは、それが全然普通だったはずなのに
もうフィルムカメラの当たり前の作業に対して
ものすごく手間がかかるように感じてしまいますね。
手間もそうですけど、お金も。

大学のサークルの合宿とかは
最初の方はたしかまだインスタントカメラで撮影していたような気がします。
フィルムを使ってたのは05年くらいまでかな?
その頃はまだまだデジカメも記憶媒体も高くて買えませんでした。
(4年生の頃には買った)。

フィルムって1本500円くらいするみたいなんですよ買うと。
高い。
そういえば確かにインスタントカメラも1000円くらいしていたような気がしますよ。
そこからさらに現像代がかかるんですからねえ。
恐ろしい話ですよ。

それが当然のことだった時代がついこの間のはずなのに
ずいぶん昔のように感じることが
やはり恐ろしい話です。

我々はフィルムを使って写真を撮ることにすでにノスタルジーを感じている!

この二眼レフカメラ
そのノスタルジーを楽しむためのカメラだという気がします。
明日フィルム買ってこようっと。