チャリで新湊大橋へいってきた
画像は新湊大橋。
この橋の自動車用道路の下にある歩行者専用道路が
先々週くらいにようやく開通になったので自転車に乗っていってきてみました。
< 新湊大橋「あいの風プロムナード」開通! - 富山県 >
この写真にも見える灰色のシャフト部分が人間用エレベーターになっています。
新湊の海王丸パーク近くに行くと
ご丁寧にも立て看板が出ていました。
そうそう名前は「あいの風プロムナード」というんだった。
「あいの風」というのはなにかというと…
…えーと、なんだっけな。
< あいの風 とは - コトバンク >
< 「あいの風とやま鉄道」並行在来線「社名」が内定 - 中日新聞 >
< 「奈呉の浦」 - 高岡市万葉歴史館 >
なんでも、「幸せをもたらす東風」という意味だそうで
富山に国主として赴任した奈良時代の歌人大伴家持が
高岡伏木あたりで詠んだ「万葉集」にも収められた和歌に
>あゆの風 いたく吹くらし なごのあまの 釣する小舟 漕ぎ隠る見ゆ
>東風が激しく吹いているらしい。
>奈呉の海人の釣りする小舟が、波の間に漕いでいるのが見え隠れしている。
という歌があることから、「あいの風」という言葉を使っているようです。
富山・能登・加賀あたりでは「ちょっと小粋なキャッチコピー」扱いですけど
そんな由来があったんですね。
ていうか並行在来線の名前「あいの風とやま鉄道」になるのかよ(中日新聞の記事)!
>…「きときと」が八百七件と最多だったが、有識者十一人で構成する選考委員会で、
>言葉の意味や響きから「あいの風」(応募は四十六件)…
「あいの風」46件>>>(市長等権力者が作る超えられない壁)>>>「きときと」807件
うおお、公募した意味ねえ!
うーむ…なんとも。
まぁ今日は新湊大橋の話だからいいや。
さらにもうちょっと行くと臨時の駐車場が。
けっこう車も止まっていて、家族連れで橋を渡らんとする人が大勢いるようでした。
たかが橋を渡るためだけにわざわざガソリン使って車に乗って家族で来て…。
暇か!
富山県民全員暇人か!
他にやること無いのか!
ないのだ。
まぁここまで30キロくらいチャリ漕いで来てる俺が言えたことじゃないですね。
いいんですよチャリはほらトレーニングと思えば…。
それでも、やっぱり他にも観光気分な人達が周りにいるとこちらも楽しくなるもので。
ちょっとウキウキ気分で橋のたもとに近づいていくと…
まだ「あいの風プロムナード」まで行く道作ってないの!
じゃり!
小石をばらまいた砂利道に申し訳程度の鉄杭とロープを張っただけで
あとはご覧のとおり更地というか荒地というか、土がむき出しのグランド状態。
「あいの風プロムナード」の開通が遅れたのは
「想定以上の強風があり、それに対策をするため」という理由だったように思いますが
地面は関係ねーだろ!
なんで整備されてねーんだよ!
怠慢か!
怠け者か!
「僕は人間である前に怠け者です」――。
(森見登美彦『聖なる怠け者の冒険』で大変心に残った主人公・小和田くんのセリフ)
(実はワタクシもそうです)
まぁ、元来働き者であると評される富山県民の、その中でも優秀なる県庁土木整備課と
それに依頼を受けた土建会社がワタクシのように聖なる怠け者であるとは
とても考えられないので、おそらく何か不可避なる事情があったのでしょう。
なんか予算が足りなかったとか。
橋を通すことばっかり考えてたら周りのことはおざなりになってしまったとか。
橋の上では空と風を感じ、波が打ち寄せる海を遥か遠くまで見晴るかすのと同様に
橋の下では大地を掴み草が萌え、その土は赤々として生命を感じさせるということを
訪れる人達に見て欲しかった、感じて欲しかったとかそういうなんかほらさあるんだよきっと。
そんなわけで、看板にいわれるまでもなく自転車はずっと押して行きました。
砂利道で乗るとパンクしたりするからね。
押したままエレベーターに乗り込みます。
エレベーター内部。
音はとても静かですが、勢い良く上昇していくので
窓から見ているとぐんぐん地面が離れていってやや恐ろしい。
高所恐怖症の人はこれだけでもう我慢ができないくらいの高さと速さです。
ただでジェットコースターに乗れると思えば得かもしれない。
ボタンは1階と2階しかなく、乗り込んだ方の逆側の扉が開くようになります。
窓からはちょうど富山新港を渡る渡し船が見えたり。
この船もいつまで存続できるかなあ。
この新湊大橋がかかるまでは
人の行き来を一手にになっていた渡し船ですが(乗船無料!)、
この橋ができてしまった以上、この船に税金を投入し続ける大義名分が消失したも同然。
乗ると気持ちいいので残って欲しい気持ちはありますが…。
プロムナード内部はこんな感じ。
もちろん自転車は押して歩いていきます。
十数メートルごとに監視カメラ、スピーカー、緊急ボタンがあり
「ここは歩行者優先です。自転車押して歩いてください」と声が流れるので
なんだかとても監視されているような感じ。
ただ何十秒かごとに定期的に流してるだけなのだとは思いますが
スピーカーの真ん前にいるときに大声で流されたので腹が立ち
監視カメラに向けて思い切り笑顔を振りまきながら端まで歩いて行きました。
「貴様ッ! 見ているなッ!」というのをアピールする意図のカメラ目線&笑顔だったのですが
よく考えたら変なやつだな。
途中にはこういう表示もあったり。
歩けるのは計480メートルなのかな。
往復で約1kmと考えると、ちょっとした運動になりますね。
ずっと真っ直ぐな通路で、自転車に乗ったらさぞ気持ちよかろうと思うのですが
まぁ歩行者もわさわさ歩いていますし仕方ないですね。
そんなこんなで(ニコニコと)対岸側まで歩いて
同じようにエレベーターを降りてみたところ…
おっ、こちらがわ(東側)は整備されていました。
ちょっとした公園のようにというか、整然としたスペースに。
でも近所の(?)お爺さんは
「こんなところよぅ、店もなんも無いがによぅ、(整備して)どうすんがよ」
と言っていました。
確かに見渡す限り、コンビニや商店のたぐいは1軒も見当たりません。
しいていうなら遥か彼方に火力発電所の煙突が見えます。
どうすんがよ、と言われても、どうもせんちゃ。どもならんちゃ。
トイレもあった。
案内板もあった。
あーペット持込みも禁止なんですね。
たしかに「橋」とはいえ中はほとんど屋内空間になっているので
ウンコやシッコされたら片付けが大変だものなあ。
なるほど。
というわけでひと通り見終わり帰ろうと思ったのですが
もう一度約500メートルの同じ道を自転車を押して歩くのはちょっとダルい。
かと言ってこの橋を使わないと案内板を見てわかるようにかなり遠回りしないといけない。
橋を渡るべきか、渡らざるべきか。
To be, or not to be!
なんてシェイクスピアを持ってきてまで言うほどのことじゃないんですけど
やっぱり橋の構造上しかたのないことですが行った道をまた帰ってくるのは飽きますね。
それでもちょっとゴチャっとする道を遠回りするよりいいかと思い結局また押して帰りました。
そんなわけで、まぁ新湊大橋に行ったというだけで、特別なオチもない話なんですが…。
「橋」に「オチ」があるなんて縁起が悪いですからちょうどイイですね。
おあとがよろしいようで…。