明日はもうすこしマシにします

日記のブログです。ヤフーブログから引っ越したので過去記事には不具合があるかも(2019年10月)。見たり読んだりししたものや考えたりしたことを忘れないうちにメモっておこうというもの。ヤクルトファン。

庄川町湯谷温泉へ行ってきましたよ

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富山県庄川峡の山奥に
湯谷温泉」といういかにも温泉が出そうな名前の地名のついた
温泉があるのです。

住所からし「(砺波市庄川町)湯谷」やからね。
湯の谷やからね。
これでお湯出なかったら詐欺でしょこの谷。

建物は、車止め風の玄関屋根がある右側に、本当の玄関がある不思議な設計。
おそらく大正期に作った建物に、右側の部分を昭和期に増築したものと思う。

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中に入ると早速の洗礼。
入浴料は大人500円! お釣りは勝手に持っていけ!

おお… なんだここは… 野菜の無人販売所システムか…。

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長い廊下を歩いて行くと
窓からは小牧ダムの絶景が。

「完成時は東洋一の巨大ダムと讃えられた。 …と、ダム工事に参加したっていう俺の婆ちゃんが言っていたから間違いない。あとその工事中にダムから朝(自主規制)」

と言っていたのは一緒に温泉に行ったS氏。

軽く調べてみると
この「小牧ダム」は庄川流域の木材業者とかなりバチバチやりあったらしく
それをテーマにした小説もあるのだとか。知らなかった。

何にでも歴史というのがあるもんですなあ。

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しかーし、建物から先はこのようにビニールシートに囲われた階段を降りて行き
この先にも風景を眺められるようなところはないので
巨大なダムの威容を誇る風景とか
近くを流れる川のせせらぎみたいなことを期待すると肩透かしに合う。
合いました。

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その先にはなんともボロな「男」、「女」の表記が。
この時点で建物より結構低いところまで降りてきていて
高さ的には建物の1階部分を基準にすると地下2~3階部分くらいにはなっているはず。

(実際には山の斜面を下るような感じなので地下ではないです)

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この階段を降りきったところに、ごく狭い脱衣場と風呂場へのドアがあります。
写真は風呂場を覗きこむS氏。

その風呂場がさてどうなっているかというと…

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ハイッ、メロンパン入れになってーます!

このように。
壁、壁、壁、壁。
なんとも無骨で無機質なコンクリート壁が四方を取り囲んでいます。
おいおい…ベトンで固めた旅順要塞か…

その圧迫感に少しおののきます。

浴槽は広くなく
洗い場もない…というか、洗い場までお湯が満たされていて、全面風呂桶状態に。
室内にはむわっとした湿気と硫黄の香りで満ちています。

右側の壁に窪みがあり、そこには申し訳程度に「メリット」が置いてあるのですが
果たしていつ頃から置いてあるものか判然とせず
しかもシャワーも無いから
泡だててしまったら後はもうお風呂にアタマを突っ込んで洗うしか無いんじゃないの?
と思う。

そのとき

「おいここで『メリット』使ったらデメリットしかないぞ…」


と、俺も思いついたダジャレをS氏に先に言われてしまって悔しかったんだけれども
しかしくだらないシャレというのは自分で言って聞いた人の辟易した顔が面白いのであって
他人が実際に言葉に発しているのを聞くと思った以上にくだらなく感じるので
なんかもう自分がそういう下らないシャレを発する事にならなくて逆に良かった。

お湯自体は源泉を無加温、無ろ過、保存料合成着色料無添加で掛け流ししているらしく
100%天然温泉だということで、いいお湯でした。

しかしなにしろ風呂にはいるとひび割れたコンクリート壁しか見えない。
あまりに風情がなく即物的。あまりに殺風景。あまりにむごい。
どうしても入浴に飽きてしまって長い時間入っていることができない。

なんかもうこんな壁とかぶっ壊して
旅番組で見るような「川岸の露天風呂(なんなら混浴)」にしちゃえばいいと思うけど…。

四方と天井を分厚いコンクリートに囲まれた温泉というのに入るのは初めてだったけれども
なにしろ分厚いベトンの圧迫感があり今ひとつリラックスしきれず
室内には熱がこもっているし浴槽から出てもサッパリしない。
脱衣所に逃れても、ビニールシートに囲まれているので風を感じない。
川の流れる音は耳に届けど、それを全く眺められない。なんだかなあ。

でもまあこれも感じ感じ。

全部が全部、整備され尽くした「温泉街」になっちゃったらたぶんつまらない。
こういう「野良温泉」とでもいう風情のものね、たまにはいいものですぜ…。

あ、でもコンクリート壁に囲まれていると
「いま外から砲撃を受けてもカノン砲くらいなら多分大丈夫そうだな…」
という安心感はあります。

砲撃に対する安心感はある温泉。
どうですか社長。


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しかしまぁ少なくとも大正13年からある歴史的温泉でもあるようですし
なかなか思いきったこともできないんでしょうたぶんきっと。

いくつかの小部屋(和室)に分かれている館の設備を見る限り、宿泊もできるんだと思います。
建物の古さに反して設備自体は清潔でキレイ。汚らしさは全くありません。
この山の中で小説でも読みつつ温泉につかりながら
だらだらごろごろ2~3日過ごしたら気持ちいいだろうなあ
という欲求は湧かなくもない。

実際むかしは湯治場としても人気が高かったらしく、広い共同炊事場がありました。
おお…昭和っぽい…。遺物っぽい…。
要はガスと水道(と下水道)さえ来てればいいわけだし、今でも使えるんじゃないかなあ。

ちょっとした合宿をするには、誘惑がなくて逆にいい環境かも知れません。
しかし温泉がなあ。
お湯はいいんだけど、やはり露天風呂がほしい。
せめて風呂桶から外の景色が見える窓がほしい。

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冒頭の壊れた自動販売機の前には
スーパーエコな冷房装置である「うちわ」が置いてありました。
おぐと超涼しい。

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ちなみに立山酒造のもの。
裏にロゴと年代が書いてあり、最も古いものは「92」の表記。

サクッと20年以上前の「うちわ」が現役で置いてあるのって
都会の価値観で言うとなかなかすごいことだと思いますが
それでもここの空気に身を浸していると
それが当たり前なことのように、普通であるように感じます。
(ほんとは年号のついてないうちわもあったからそれは20年より昔のものだと思われる)。

大正時代の建築と、無加温掛け流し温泉と、小牧ダムという歴史的建造物がある…

結構、観光資産というか、「ウリ」になりそうな要素があるんですけど
露天風呂を作るとか、風呂場を改装するとかそこまで大それたこともできないし
広告も打たないし、そもそも商売っけが無いという…。
(商売っけがあるなら窓口に野菜の無人販売システムは採用しまい)。

もったいないというか、富山らしいというか。

そういう朴訥な姿勢は個人的には好ましく思うのですが
ただ風呂場がなあ。
コンクリート壁に囲まれた風呂はやはり「朴訥」というより「無骨」。
田舎の「素朴さ」というより、率直に言えば田舎の「無遠慮さ」を感じる。
素直に他人に薦められる温泉であるとは言い難い。
でもお湯自体はいいのよ…。

なんかもうちょっといい感じになればいいのに。いい感じになれるのに。

という、ひどく具体性のない欲求ばかりが強まりますね。
まあ具体的なことを言うと「屋根も壁も取っ払っちまえ」ということなのですが
それを言うと今度は実現性がなくなるのです。笑。

いや…だが逆にこのコンクリート壁にこびりついた白いもの(温泉成分?)や
ひび割れ、水が染みこんでジメジメ濡れている部分、何故か色の変わっているところを眺めれば
そこに雪舟山水画竜安寺の石庭のような

一種独特の「わび」を感じることができる…

できる…

できるようになる……

…なるかなぁ~~~~~………?


まあなにしろ通好みの温泉であることに間違いはない。

あと駐車場の場所がよくわからなくて最終的になんか店のおばあちゃんに怒られた。
ちょっと離れたところにある駐車場が正しい駐車場だそうです。
知らんがな。

年一ペースくらいでこよう。