大阪「阪急かっぱ横丁」など
「富山から島根に行くには大阪で高速バスを乗り継いでいくのがよい」
という言葉を信じたワタクシは、まず高速バスで大阪までいき、
乗り継ぎの時間を利用して大阪で昼食を取ることにした。
写真は高速バス乗り場にほど近い
かっぱ横丁なる通りの、河童像。
愛嬌のあるかっぱのフィギアが噴水とともに飾られている。
腰に手を当てたポーズが、どことなくユーモラスだ。
ここは色んな飲食店が隙間なく立ち並んでいて、しかもそのどれもが安い。
つい目移りして店を決めかね、アーケードの端から端まで3往復も歩いてしまった。
きつねうどんとソースカツ丼がついて750円なのである。
そして「海老フライ&ヘレカツ膳」がさらに安い650円。
梅田駅のすぐそばという都会のまん真ん中でこの値段というのは
さすがに「食の街」大阪だという気がする。
それにしても、「ヒレカツ」ではなく「ヘレカツ」なのである。
これは
(メニュー名までなまっているのか…)
と、漫画『孤独のグルメ』の中で主人公の井之頭五郎が面食らっていたことを
追体験できているようで
面白い。
そして結局入った店が、横丁の外にあるこの 〔茶琥屋〕 というたこ焼き屋。
10個入りで550円という安さが気に入った。
大阪ならたこ焼きだろう……という、わずか2時間ほどの滞在で
大阪を満喫しようという目論見にも合った。
店内は狭くカウンターが奥へ向かってありその中ほどに座った。
たこ焼きはネギ乗せ、と、オーソドックスなソースのものをダブルにできるというので
そのようにしてもらった。
10個のうちいつつはソースとマヨネーズ、カツオ節という黄金トリオで
もういつつはソースを塗った上にネギをどっさりと山盛りにしている。
使っているのはどちらも同じソースで、甘みが深い。
グラスに入った生ビール450円と合わせて1,000円。
開店直後ということもあって鉄板が冷えていたのか焼くのにしばらく時間がかかっていたが
10分ほどビールを舐めながら待った。
店を眺めると、調理場の壁に色とりどりの酒瓶がズラリと並んでいる。
どうやらたこ焼き屋でありながら、居酒屋としてもやっているようだ。
夜にはたこ焼きに舌鼓を打ちながら酒を楽しむ酔客でにぎわうのだろう……。
出てきたたこ焼きは待たされた甲斐があって熱々で口に入れるのも難儀するほど。
中はとろけるクリーミィで、昨今価格が上昇していて苦しいはずのタコの身も
そう小さくなっていない。
これを口に放り込んで口じゅうがやけどしそうに熱くなったところに
汗のかいたグラスに入ったビールを流しこむのがたまらない。
ハフハフと口から蒸気を噴き上げながら、10個の粒をあっという間に平らげてしまった。
それでも、次の島根行きのバスが出るまでまだ1時間ほどあったので
本屋や古本街を歩いて時間を潰した。
東京では神田の古書店街が有名だが、大阪にも、
(いい古本街がある……)
のである。
バスのチケットを予約するとき、間髪入れずにすぐ次のバスにのるか
このように大阪を歩く時間を余らせるか少し迷ったが
こうして思い出してみると時間を余らせてよかったように思う。
ところで、今日の文章はここのところ立て続けに読んだ
『むかしの味』、『散歩のとき何か食べたくなって』という
読むと腹が減る池波正太郎の食エッセイっぽく書いてみたが
こんな駄文で池波正太郎っぽくと言ったらファンの人は怒るだろうか。いや、怒るだろう。
まあ、気にしまい。