明日はもうすこしマシにします

日記のブログです。ヤフーブログから引っ越したので過去記事には不具合があるかも(2019年10月)。見たり読んだりししたものや考えたりしたことを忘れないうちにメモっておこうというもの。ヤクルトファン。

帰省してたので富山の食べ物の話

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写真は富山名物ますの寿司。コメとマス(トラウト)を笹に包んで竹の容器に入れてzipのように圧縮する押し寿司の一種です。なんだか久しぶりに食べました。コメとマスだけのシンプルな構成に、笹の香りが移って爽やかな味わいです。

保存技術のない頃は、酢と笹の殺菌効果で長持ちさせる保存食というか移動に便利な食料であったろうと思います。

機能性が優先して飾り気のない見た目や(それはひとつ機能美という実践的な美しさを持っていますが)、また実直な味わいは、富山県の県民性を表現していると言ってもいい…かもしれません。

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それでいて、やはりそれよりもおいしく、胸にしみる味わいだったのは、このサトイモノヤイターノニユズミソツケターノ」です。いや正確には「里芋の焼いたのに柚子味噌をつけたもの」です。カタカナで言えばフランス料理かイタリア料理になるかなと思いましたが、あまりなりませんでしたね。

南砺市特産の里芋を焼いて砺波市庄川町特産の柚子味噌を塗ったというだけのものです。だけのものですが、これがえも言われずに、うまい。

大粒の里芋はネットリというよりホクホクしていて、独特の風味はあくまでやさしくエグみがなく、甘酸っぱい柚子味噌の香りとしっかりとしたうまみ。焦げが香る香ばしさ。立山を熱燗で飲みながら、気づけばこの皿の里芋をすべて平らげてしまっていました。

炭水化物(糖質)の塊だけどイモだからセーフだよね!

それにしても、ただ芋を焼いて味噌を塗っただけのものが、どうしてこんなにもうまいのでしょう。その土地で育ったものをその土地で食べる、いわゆる地産地消の効能ということもあるでしょう。鮮度みたいなこともあるでしょうが、やはり本質は、我々がどうしても、日本の土と水で育った土着の日本人であるというところに理由がある気がしてなりません。

土の中から掘り出した、土にまみれた髭だらけの、皮も分厚いむくつけき外見の、一見してなにか土の塊とそう変わらない、その里芋をただ焼いて、焦げの香りが立つ頃に、マーマレードのように柚子の皮の入った柚子味噌を塗りつけて、ただ思いきり頬張れば、これ以上の美味はやはりない。

土の味まで感じるような素朴な味わいを、そこにある飾らない美味を見逃してはなりません。