本の話でもしますかー
寒いっすね。
年の瀬! って感じがします。
こう寒いと、
朝ふとんの中から這い出るのも一苦労で、
一生ふとんの中にこもって過ごしたくなりますよね。
もし天国というものがあるのなら、
それは冬の朝の布団の中にあるような気がします。
けれども人はいつまでもゆりかごの中にはいられん。
とガガーリンだか誰か外国人も言ってますので、
布団からは出なければならん。
そんなときはとにかくこう、
何かを叫んで布団を蹴りあげると否応なく布団を出て行かなければいけくなります。
「しょうーりゅうーけん!」とか、
「北斗百烈脚!!」だとか、
「スーパー・ウルトラ・サンダー・グロテスク・ワンダーランド・激烈・オンドロゲ・オタンチン・
パレオロガス・キィーック(技名を長くすればその分だけでも布団の中に長くいられる)!!」
だとか、
なにか必殺技の名前を叫んで布団を蹴りあげるといいですね。
清涼な冬の朝、
どこからともなく必殺技を叫ぶ野太い声が聞こえたらそれは私です。
●本の話。
画像はここ最近読んだ本たち。
ひと言ずつ感想のようなものを書きます。
『アンダースロー論』(渡辺俊介/光文社新書)
…千葉ロッテマリーンズのピッチャー・渡辺俊介選手の本。
「アンダースロー論」というタイトルですが自身の半生を振り返るといった内容が主。
世界最「低」のアンダースローが世界の強打者を打ち取る秘訣や、
どうしてアンダースローを取り入れるにいたったかとか。
読むとアンダースローに挑戦したくなります。
しかし実際にアンダースローで投げてみるとボールがどこに行くかわからん。
アンダースローといえば渡辺俊介か里中智。
『禅と日本文化』(著・鈴木大拙、翻訳・北川 桃雄/岩波新書)
…「禅って何だろう?」ということを、
鈴木さんが外国人に語った話を、
北川さんが訳した本。
いや別に知り合いじゃないですけどね鈴木さんも北川さんも。
禅も仏教もしらない外国人相手に話しているので、わかりやすいです。
禅とは何か?
うーん、なんといったらいいのか。
仏教的悟りを得るための実践的方法とでもいうか、
禅が何かを教えるということは実はあんまりなくて、
教えではなくてその本人が何かを悟るための方法なのです。
ハウツーなのです。
ってよ。
『金閣寺』(三島由紀夫/新潮文庫)
…言わずと知れた日本文学の名作。
とはいえ三島作品を読むのはこれがはじめてだったりします。
面白かった!
色彩のくっきりとした風景描写と情景を描き出す筆致は圧巻で、
なんかウジウジした主人公がめんどくせえけどまぁ文学作品ってそういうもんだ(乱暴な感想)。
三島由紀夫作品には徐々に食指を伸ばしたい。
心に残ったシーンは古寺の庭に緋染の幕を敷いて作った茶席で、
艶やかな着物の女性が母乳をピューって抹茶に注ぎ込むところを主人公が覗き見しているところ。
その行為の馬鹿馬鹿しさと美しい色彩要素がアンバランスで、
妙に印象が強い。
『神々の山嶺(上)』(夢枕獏/集英社文庫)
…谷口ジローが漫画化している山岳小説。
エベレストに挑む男の物語。
漫画版はかなり忠実に原作を再現しているんだなぁとわかりました。
名古屋の鉄道遺失物を売っているところで上巻だけあったので買ったんだけれども、
漫画版と一緒なので下巻は買わなくていいかなぁと思っているところ。
しかしそんな中途半端はエベレストの5合目まで行って降りてくるようなもので、
やっぱり下巻も買って最後まで読まないといけないかなぁとも思っているところ。
『八甲田山死の彷徨』(新田次郎/新潮文庫)
…明治時代の陸軍2部隊が、
青森県八甲田山の冬季踏破訓練に挑んで、
1部隊は見事に大全滅したという事件を、
丹念な取材に基づいて再現した山岳小説。
寒い時期に読むと臨場感抜群でいいですよ。
全滅するような気分になりますよ。自分が。
『孤高の人(上)』(新田次郎/新潮文庫)
…ヤングジャンプで漫画化連載中の山岳小説。
意図したわけではないのですが、
なんだか山岳小説を続けて読んでいました。
いやでも山って高いところは基本寒いから、
冬に読むとなかなかよい。
これも上巻しか買ってないので話が途中までしかわからん。
こっちは下巻も買いたい。
『惣角流浪』(今野敏/集英社文庫)
…武田惣角という明治時代の柔術家の壮絶な人生を描く歴史格闘小説。
惣角が起した「大東流柔術」という流派は今でも健在らしいです。
講道館柔道の創始者・嘉納治五郎と同じ年に生まれた惣角は、
柔術をスポーツ化して「柔道」として世界に広めた嘉納先生とは対照的に、
武術の武である部分を追及していったそうです。
平民に生まれ、東大の書生(学生)でありながら柔術を学び広めていった嘉納治五郎が、
明治という“新しい時代”の柔術家であったなら、
侍の家に生まれた武田惣角は、
武に育ち武を捨てきれぬ“旧い時代”の柔術家だったのかもしれない…という小説。
二人の柔術家の対比が印象的で、
武田惣角と嘉納治五郎が戦う場面は非常に興味深いです。
面白かった。
ちなみに巻末の解説は夢枕獏。
『優柔決断のすすめ』(古田敦也/PHP新書)
…古田さんの本。
“優柔決断”というのは、
迷ったり悩んだりするのは悪いことと捉えられがちだけれどむしろそれはいいことで、
でも最後には「ええいままよ!」と決断して突き進むことも大切であるというような意味合い。
個人的にはその表題よりも、
ヤクルト時代の野村監督と若松監督の采配や人心掌握術の違いや、
プレイングマネージャーとしても活躍していた自身の実際の采配法などについての方が、
興味深く読めました。
今はタレント業にいそしむ古田さんですが、
やっぱりまたそのうちユニフォームを着て神宮に帰ってきてほしいですね。
以上!
今年は特に読書冊数の目標を立てていなかったこともあって、
そんなにたくさんの本は読んでません。
というか記録も付けていません。
めんどくさくて。
んーでもまぁ、30~40冊くらいは読んだのかしらね。
わからんけど。
本を読んでなんになるか。
読書は何かの役に立つのか。
と聞かれることも時にはありますが、
いや別に、
ひたすら自分の知的好奇心を満たすのが楽しいから読んでいるのであって、
何か自分のためになるとか、
将来の役に立つとかいうのではないです。
役に立たないことをあえてするから趣味というのだと思います。
それでも、
「食物と同じように、ただ自分の中を通すだけでも必要なものは勝手に残るものだ」
と『拳児』(中国拳法漫画)の老師が言っていたので、
まぁ何か残っているものもあるんじゃないかと思います。
来年も50冊くらい(1週間に1冊読めばクリアーできるという低いハードル!)は読みたいっす。
――本は心の旅路――
(有隣堂書店ブックカバーのことば)
年の瀬! って感じがします。
こう寒いと、
朝ふとんの中から這い出るのも一苦労で、
一生ふとんの中にこもって過ごしたくなりますよね。
もし天国というものがあるのなら、
それは冬の朝の布団の中にあるような気がします。
けれども人はいつまでもゆりかごの中にはいられん。
とガガーリンだか誰か外国人も言ってますので、
布団からは出なければならん。
そんなときはとにかくこう、
何かを叫んで布団を蹴りあげると否応なく布団を出て行かなければいけくなります。
「しょうーりゅうーけん!」とか、
「北斗百烈脚!!」だとか、
「スーパー・ウルトラ・サンダー・グロテスク・ワンダーランド・激烈・オンドロゲ・オタンチン・
パレオロガス・キィーック(技名を長くすればその分だけでも布団の中に長くいられる)!!」
だとか、
なにか必殺技の名前を叫んで布団を蹴りあげるといいですね。
清涼な冬の朝、
どこからともなく必殺技を叫ぶ野太い声が聞こえたらそれは私です。
●本の話。
画像はここ最近読んだ本たち。
ひと言ずつ感想のようなものを書きます。
『アンダースロー論』(渡辺俊介/光文社新書)
…千葉ロッテマリーンズのピッチャー・渡辺俊介選手の本。
「アンダースロー論」というタイトルですが自身の半生を振り返るといった内容が主。
世界最「低」のアンダースローが世界の強打者を打ち取る秘訣や、
どうしてアンダースローを取り入れるにいたったかとか。
読むとアンダースローに挑戦したくなります。
しかし実際にアンダースローで投げてみるとボールがどこに行くかわからん。
アンダースローといえば渡辺俊介か里中智。
『禅と日本文化』(著・鈴木大拙、翻訳・北川 桃雄/岩波新書)
…「禅って何だろう?」ということを、
鈴木さんが外国人に語った話を、
北川さんが訳した本。
いや別に知り合いじゃないですけどね鈴木さんも北川さんも。
禅も仏教もしらない外国人相手に話しているので、わかりやすいです。
禅とは何か?
うーん、なんといったらいいのか。
仏教的悟りを得るための実践的方法とでもいうか、
禅が何かを教えるということは実はあんまりなくて、
教えではなくてその本人が何かを悟るための方法なのです。
ハウツーなのです。
ってよ。
『金閣寺』(三島由紀夫/新潮文庫)
…言わずと知れた日本文学の名作。
とはいえ三島作品を読むのはこれがはじめてだったりします。
面白かった!
色彩のくっきりとした風景描写と情景を描き出す筆致は圧巻で、
なんかウジウジした主人公がめんどくせえけどまぁ文学作品ってそういうもんだ(乱暴な感想)。
三島由紀夫作品には徐々に食指を伸ばしたい。
心に残ったシーンは古寺の庭に緋染の幕を敷いて作った茶席で、
艶やかな着物の女性が母乳をピューって抹茶に注ぎ込むところを主人公が覗き見しているところ。
その行為の馬鹿馬鹿しさと美しい色彩要素がアンバランスで、
妙に印象が強い。
『神々の山嶺(上)』(夢枕獏/集英社文庫)
…谷口ジローが漫画化している山岳小説。
エベレストに挑む男の物語。
漫画版はかなり忠実に原作を再現しているんだなぁとわかりました。
名古屋の鉄道遺失物を売っているところで上巻だけあったので買ったんだけれども、
漫画版と一緒なので下巻は買わなくていいかなぁと思っているところ。
しかしそんな中途半端はエベレストの5合目まで行って降りてくるようなもので、
やっぱり下巻も買って最後まで読まないといけないかなぁとも思っているところ。
『八甲田山死の彷徨』(新田次郎/新潮文庫)
…明治時代の陸軍2部隊が、
青森県八甲田山の冬季踏破訓練に挑んで、
1部隊は見事に大全滅したという事件を、
丹念な取材に基づいて再現した山岳小説。
寒い時期に読むと臨場感抜群でいいですよ。
全滅するような気分になりますよ。自分が。
『孤高の人(上)』(新田次郎/新潮文庫)
…ヤングジャンプで漫画化連載中の山岳小説。
意図したわけではないのですが、
なんだか山岳小説を続けて読んでいました。
いやでも山って高いところは基本寒いから、
冬に読むとなかなかよい。
これも上巻しか買ってないので話が途中までしかわからん。
こっちは下巻も買いたい。
『惣角流浪』(今野敏/集英社文庫)
…武田惣角という明治時代の柔術家の壮絶な人生を描く歴史格闘小説。
惣角が起した「大東流柔術」という流派は今でも健在らしいです。
講道館柔道の創始者・嘉納治五郎と同じ年に生まれた惣角は、
柔術をスポーツ化して「柔道」として世界に広めた嘉納先生とは対照的に、
武術の武である部分を追及していったそうです。
平民に生まれ、東大の書生(学生)でありながら柔術を学び広めていった嘉納治五郎が、
明治という“新しい時代”の柔術家であったなら、
侍の家に生まれた武田惣角は、
武に育ち武を捨てきれぬ“旧い時代”の柔術家だったのかもしれない…という小説。
二人の柔術家の対比が印象的で、
武田惣角と嘉納治五郎が戦う場面は非常に興味深いです。
面白かった。
ちなみに巻末の解説は夢枕獏。
『優柔決断のすすめ』(古田敦也/PHP新書)
…古田さんの本。
“優柔決断”というのは、
迷ったり悩んだりするのは悪いことと捉えられがちだけれどむしろそれはいいことで、
でも最後には「ええいままよ!」と決断して突き進むことも大切であるというような意味合い。
個人的にはその表題よりも、
ヤクルト時代の野村監督と若松監督の采配や人心掌握術の違いや、
プレイングマネージャーとしても活躍していた自身の実際の采配法などについての方が、
興味深く読めました。
今はタレント業にいそしむ古田さんですが、
やっぱりまたそのうちユニフォームを着て神宮に帰ってきてほしいですね。
以上!
今年は特に読書冊数の目標を立てていなかったこともあって、
そんなにたくさんの本は読んでません。
というか記録も付けていません。
めんどくさくて。
んーでもまぁ、30~40冊くらいは読んだのかしらね。
わからんけど。
本を読んでなんになるか。
読書は何かの役に立つのか。
と聞かれることも時にはありますが、
いや別に、
ひたすら自分の知的好奇心を満たすのが楽しいから読んでいるのであって、
何か自分のためになるとか、
将来の役に立つとかいうのではないです。
役に立たないことをあえてするから趣味というのだと思います。
それでも、
「食物と同じように、ただ自分の中を通すだけでも必要なものは勝手に残るものだ」
と『拳児』(中国拳法漫画)の老師が言っていたので、
まぁ何か残っているものもあるんじゃないかと思います。
来年も50冊くらい(1週間に1冊読めばクリアーできるという低いハードル!)は読みたいっす。
――本は心の旅路――
(有隣堂書店ブックカバーのことば)