明日はもうすこしマシにします

日記のブログです。ヤフーブログから引っ越したので過去記事には不具合があるかも(2019年10月)。見たり読んだりししたものや考えたりしたことを忘れないうちにメモっておこうというもの。ヤクルトファン。

『フルメタル・パニック! ずっと、スタンド・バイ・ミー』(賀東招二/四季童子/富士見ファンタジア文庫)

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10年ぶりくらいに読んだ『フルメタ』。
なんだか○○が死んだり(誤解だった)、
メインヒロイン・かなめが主人公・宗介たちの組織ミスリルと敵対する組織に裏切ってたり、
その組織の男に唇やら体やらを許しそうになったりなんだか大変なことになっている。
学校は前の巻あたりでテロにあってるらしい。

知らなかった。
なんだか久しぶりに会った友達のいろいろあった身の上話を聞いているような気持ちになる。

この『フルメタル・パニック!』は
12年続いたシリーズで
小説の販売数は累計900万部突破していて
さらにハリウッドで映画化の企画もあるっていうんだからすごい(ただしソースはウィキペディア)。

大人になって読むライトノベルということで
楽しく読めるのかというのが少し不安になっていたんだけれども
これが普通に楽しく読むことができました。

しょっぱなの学園シーンで
源氏物語』のテストをうまくこなすことができなかった生徒が

「ヤリチン男のくそったれ女遍歴で俺の人生きめんじゃねーよ!」

という部分を立ち読みして一瞬買うのをためらいましたが。

今ならそれはあまりに一面的で一方的な読み方で子供っぽい言い分だと思うけれども
中学生か高校生の自分なら笑いながらその意見を全面的に支持していただろうと思うし、
本来の対象年齢を考えれば、こういった表現も正しいことだと思います。

なのでその後の
ミスリル創始者の父とそれに騙されていた形の子供との会話はうれしかった。

さいとうたかを的というか『ゴルゴ13』的な絵柄が似合いそうなほど硬派でハードボイルドですよ。
このくだりを読んで、日本の漫画アニメはクオリティの高さから海外人気が上がっているけど、
ライトノベルだって負けてないじゃないかと思いましたもの。

一冊2時間で読み終えられる、
漫画のように読むのが楽でケレン味たっぷりの楽しい小説でした。

しかし世界改変とかいうSF要素はどうなんだと思わざるを得ない。
架空戦記学園ミリタリーロボアクションSFラブコメというわけのわからないものに。笑。
まぁその雑多なごった煮エンタテインメント感がライトノベルの本質なのかもしれませんですけど。

いやあの
「読みやすい文章」とか「サクッと読める」というのは
ときに難解で深淵な表現がたっとばれる小説においては蔑まれるような感じにもなったりするのですが
楽に読める文章というのは、書くのは楽ではないんですよね。実は。
その点このライトノベルってやつは、「読みやすい文章」の教科書になるのかもしれませんよ。実は。
だって小学生にも大学生くらいと同じだけの理解をさせつつ飽きさせないようにしないといけないんだもんね。

すごいことですよこれは。

あと感じたのは情報量の多さ。
無駄な文章が少なくてちゃんと伝えるべきことが文章に詰まってる。
大学生の間は「ハルヒ」シリーズくらいしかちゃんとよんでなかったけど、
思ったよりちゃんとしてるわライトノベル

うーん、読みやすい。
小説の場合、読みやすい文章というのは
雑誌の場合とはまた別に
視点の移動がないだとか文体の確立だとかめんどくさい問題も多いんですが
それをこともなげにクリアしてしまっているのはやっぱりすごいことだと思います。

いまさらながら
ライトノベル」という分野の実力を再確認した気持ちです。

描写が簡潔だからだろうかね。
基礎的な日本語力が優れているから?
一人称視点が徹底されているから?
読者にいかに文章を意識させずに没頭させるか
読ませるかということでもあると思うので
本を読む際はそれぞれの著者はいかにしてそれを生み出すように工夫しているか意識して読みたい。

その点この間感想を書いた『日本の酒』なんかは
専門用語がたびたび出てくるのが読みづらくさせている原因でした。
まあ岩波文庫ではしゃーない。元が古い本だしね。

読みやすい文章を探す旅に出るのだ。