明日はもうすこしマシにします

日記のブログです。ヤフーブログから引っ越したので過去記事には不具合があるかも(2019年10月)。見たり読んだりししたものや考えたりしたことを忘れないうちにメモっておこうというもの。ヤクルトファン。

『日本の酒』(坂口謹一郎/岩波文庫)

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初出は1960年初頭の岩波文庫
なんでも『世界の酒』なる本が先にあって
その続編というか次に書かれた本らしいです。

坂口謹一郎というのは応用微生物学の人で
発酵学や醸造学の権威なのだとか。

内容的には日本の酒づくりの歴史や方法
分類の仕方や問題点など
1961年当時の「日本の酒」における情報がまとまっています。

がっ。

そもそも(ビールやワインと違い)非常に複雑な製法で作られる日本酒というお酒の作り方を
文字情報だけで解説するというのは無理ですわ。

図やイラストや写真を駆使して解説していかないと
文字だけでは専門用語も多くて何がなにやらさっぱりわからず…。
写真は多く使ってあるものの、あくまで添え物なんすよね。

学者先生の文章って感じなのが残念ですね。
きっとこの人は「解説」じゃなくてただウンチクを語らせたほうがずっと面白いのに。
まあそこら辺が岩波文庫の限界よきっと。

えーとえーとためになった情報というか心に残っている情報というか覚えている内容は
タカジアスターゼを粉末化した高峰譲吉さんはウイスキーの新製法の研究にアメリカに行って
(とうもろこしと麹でアルコール発酵をさせる?)そこで地元の大麦を使った旧製法の人たちに反対されて
工場(研究所)をどうやら燃やされて失意に陥ったというエピソードだったり
やっぱり昔の「口噛み酒」(九州などで作られていたとか)は
少女や美人の口噛みで行われていたらしいとか。

いやそれはやはりそうでしょう。
原始的な男権社会にあって、それを飲むのが男である以上。
かわいい女の子の噛んだお酒がいいよねえ。
小汚いオッサンとか婆さんの唾液が入ってるより。

想像してみるとやはりそれもかなりフェティッシュな光景であるな。
>かわいい女の子がお米をもぐもぐくちゃくちゃと噛んだドロドロをゆっくりと瓶の中に落とすという光景

読書をするというのは知識を仕入れるという目的ももちろんあるんだけれども
その仕入れた知識によっていかに想像をかきたてられるかというところに読書の本懐があるように思う。
想像のきっかけとなるものを常に探し求めているというかね。
おっカッコイイなオイ。

あっあと覚えているのは昔は一年中春夏秋冬酒をつくっていたこととか。
同じ銘柄でも味(酸味などの数値)が全然違っていて、時代によって味の好みは本当に変わるもので
それは「古酒」を作らない日本酒の特色であるとも言えるとかどうとか。
(10年とか30年とか寝かすウィスキーはそりゃそうそう味はかえられないよね)

というわけでまとめると。
もちろん岩波文庫だけあって「日本の酒」事情について確かな情報とともに詳しくまとめられてはいるんだけど
それはいかんせんもう50年、半世紀前の情報であって
当時これがこういう事だったんだなというのはわかるんだけど
今の「日本の酒」事情については全然よくわかりません。

当時は機械化が進む真っ最中みたいだったね。

古めかしい造り酒屋の瓦屋根の奥に「酒工場」の無機質な建物があって
それが「近代的・現代的」であると良いように書かれているのが印象的だった。
もちろんそれはそうなんだけど。
「地酒ブーム」からの味にこだわる日本酒生産の流れがない時代の本なんだなぁと。

まぁ
日本酒の歴史をざっと学ぶにはいいと思いますが。
「麹座」とかも出てくるしね。

でもその実態がやっぱり文字だけだと全然良くわかんなかったり。
もやしもん』の方がずっとよくわかったりします。