明日はもうすこしマシにします

日記のブログです。ヤフーブログから引っ越したので過去記事には不具合があるかも(2019年10月)。見たり読んだりししたものや考えたりしたことを忘れないうちにメモっておこうというもの。ヤクルトファン。

映画『華麗なるギャツビー』見たので感想

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画像は映画『華麗なるギャツビー』公式サイトからDLできる壁紙。
見て来ました。
せっかく見たのでサクッとあらすじと感想をまとめておきます。

【あらすじ】

ときは1922年、舞台は禁酒法時代のニューヨークとその近辺。
謎の大富豪・ギャツビーは夜な夜なNYのセレブリティを集めては豪奢なパーティを開いていた。
ひょんなことから彼と知り合う主人公。果たしてギャツビーの正体とは、目的とは――?



…てなもんですわ。
謎めいた若き大富豪ギャツビー(レオナルド・ディカプリオ)の正体と
彼の目的、それにまつわる騒動がストーリーのメインです。
原作はフィッツジェラルドという古い作家の小説で
アメリカ文学の頂点」と言われているとかいないとか。

< The Great Gatsby - Wikipedia >

以下、ネタバレも含みますので、未鑑賞の方はご注意の上、よしなに。







【感想】

あのー
すごく金をかけた昼ドラですねこれは。

結局その、豪華絢爛なパーティを開いているギャツビーの目的というのが

「過去に交際していた良家の子女(すでに人妻)を、再び我が物にすること」

ハァ、そうなのですか。
というなんか気の抜けた返事しかできないような、言ってしまえば些細なこと。

彼女と再び交友関係をもつために
彼女の家から湾を挟んで対岸にある古城を買い取ったり
酒池肉林のパーティを開いたり。

そのパーティを開くための資金は実は非合法なアルコール飲料の販売で
マフィアやアンダーグラウンド勢力との付き合いもある(というか本業)で
親の遺産で遊んでいるオックスフォード大卒のエリートと嘘をついていたけど
本当のところは貧しい西部出身の貧乏人…。

という、「実は!」という要素もあるはあるんですが
なんかこう全体的に古臭いというか古ぼけた動機だったり古ぼけた種明かしだったり。

前半のパーティをしている映像や演出がとても凝られていて
映像的には過剰なほど派手派手しく迫力がある
ので
最終的に「あの人妻と俺は昔付き合っていて、あの頃を取り戻したいんだ!」っていう
なんか…こう、普通。っていうような感じの動機だったのはえらく肩透かしな感じがしましたね。

別に素性が不明な富豪の正体がいまさらマフィアだって言われても
そうですか。あっ大丈夫っす…。って感じで、特に驚きはありません。

それまでギャツビーの正体や素性、目的をうまく謎にしながら匂わせて
「次どうなるんだろう?」っていうアメドラ的サスペンス感あるヒキのある脚本になっていて
その謎が明かされない間は食いついて見られるので良い要素なんですが
明かされたると、最終的に「ええ~ そんなことで~?」という…。

現代の(映画や小説に慣れきってしまっている)感覚から言えば
いいじゃん不倫でも! いいじゃん略奪愛でも! いいじゃんマフィアでも!
さっさと手に手をとって愛の逃避行しちゃえばいいじゃん!
なにをモタモタしやがってんでい! って思っちゃいますからね。

映像的には、3D版も作られていますし、豪華なCGを使い
昔のNYを再現し、プールや大きなオルガンのある巨大なパーティ会場など
舞台設定にとてもお金がかかっているというのが伝わってくるので
その豪華な舞台で演じられるのが
もはやチープな感じのする「割と簡単な事情の略奪愛」であることに違和感があります。

(以下ラストのネタバレなので白字にします)

最終的にそのヒロインがギャツビーの車を運転している時に旦那の愛人を轢き殺してしまい
ギャツビーは逆恨みされたその愛人の旦那に撃ち殺される。


っていう、うわぁもうほんとによくある昼ドラ的なドロドロドラマじゃんっていう。
そんなオチになるので…。

「小説が発表された頃はこれが最先端で、ものすごく盛り上がるストーリーだったんだろうなあ」
ということなんだと思うんですけどね。

何しろ1925年発行の小説ですからね。ほとんど100年前。
日本文学で言えば芥川龍之介とか小林多喜二とかね
歴史の教科書で学ぶ時代の小説ですから。

きっと当時としてはとんでもなく先進的でアバンギャルド
社会的に許容されるモラルのギリギリを攻めた小説だったんでしょう。たぶん。

けど現代から見れば
不倫だろうが寝取られだろうが他人の妻だろうが
恋愛ドラマや映画となればそんなものはもはやタブーでもなんでもなくて
むしろ全然「よくある話」になってしまいます。
夫に気兼ねして(?)態度をはっきりさせないヒロインに対して苛立ちすら感じてしまいますね。
しかも最終的に自分だけ逃げるし。

その辺をいかにうまく料理するかが古い小説を元に映画を作るときのキモだと思うんですが
映像的には最先端の現代技術を感じましたが、脚本的には古いまんまで。
そこがなんかやっぱりちょっとしっくりこない感じがありましたね。


全体的にはイマイチでした。
コテコテな昼ドラ好きにはたまらない! …のか?




【瑣末な感想
・142分は長いなあ。別に削れば120分くらいにできそうだけど
・本当はギャツビーは非白人の設定だったんじゃないのかなー
・それならヒロインの旦那が白人至上主義的なキャラであるのにも筋が通る
・自分も愛人作ってるのに、妻が間男に取られるのを嫌がる理由について
. 自分の(チンケな)プライドだけじゃなくて、差別心も加わるしさー
・でも別に原作からしてそんなことはないみたい。よくわかんね
・英語の「celebrity」をそのまま「セレブ」って訳すのはどうなのよ
・本当のセレブの人が「毎日このへんのセレブが集まってくるんだ」とかって
. 自分のことを「セレブ」呼ばわりするのはちょっと変でしょう。
フィッツジェラルドって作家の名前だったのか。なんか聞き覚えがある
原作は村上春樹訳もあるのか。機会があれば読んでみようかな

まぁそんなところですね。
来月はジブリ風立ちぬ』もあるので見る。

映画始まる前に4分間(!)の予告編が流れて
それだけで大体のストーリーの筋がわかってしまうような大胆な予告編だったんだけど
面白そう。