明日はもうすこしマシにします

日記のブログです。ヤフーブログから引っ越したので過去記事には不具合があるかも(2019年10月)。見たり読んだりししたものや考えたりしたことを忘れないうちにメモっておこうというもの。ヤクルトファン。

映画『劇場版 幼女戦記』観たので感想

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画像は公式サイトトップページ。
http://youjo-senki.jp

2017年にテレビシリーズが放送されていたストーリーの続きとなる映画『劇場版 幼女戦記』を観てきました。
簡単に感想をメモ。

その前に、そもそもこの作品のガイヨウを軽く説明しておくと、日本のサラリーマンが死をきっかけにWWI時のヨーロッパ戦線によく似た状況の異世界に転生し、度を越した理性的判断と論理的思考、さらに神のような「存在X」の未知なる力によって大活躍、戦時の英雄となり、「安全な後方勤務をしたい」という自身の思いとは裏腹にどんどん出世して最前線で戦い続ける…というもの。

原作はネット小説で、ジャンル分けをするとかつてノベルスで隆盛した「架空戦記」の末尾に連なるものでもあるし、異世界転生の大ブームを巻き起こした「なろう小説」のはしりでもあると言えるでしょう(掲載サイトは「小説家になろう!」とは別だけど)。

そういうややこしい出自をどこまで説明するかというのはあるんだけど、「中身がバリキャリビジネスマンの幼女がWWIのような戦争で魔法のようなチートの力を使って無双する」と思っておけばよろしい。

●あらすじ
(※以下ストーリーなどのネタバレが含まれます)

ターニャ・デグレチャフ少佐(悠木碧)が率いるニ○三大隊は今日も元気に大活躍。
戦局のなりゆきで敵国の首都まで陽気な陽動攻撃を加えることになりました。
「陽動と挑発」って自分で言っていたのにところがどっこいやりすぎた。
司令部を爆撃するわ旗を立てるわ国歌をうたうわやりたい放題。

ウキウキ気分で帰国するはずが、友軍の救出任務を担うことに。しゃーないやってやっかと思ったところにメンツを丸潰しされて怒り心頭の敵兵が、超大軍で攻めてきた!
相手方にはさらに、自身が殺めた男の娘メアリー(戸松遥)が有り余る魔導士の力を駆って「パパの仇」と殺す気まんまんで攻めてくる。大ピンチ! どうしよう。

という話。
基本的にはテレビシリーズありきの映画なので、過度な説明は

●感想

おもしろかった!
やっぱり爆撃と硝煙の戦争映画は劇場で観るに限る!

爆発!鮮血!空中戦!

そうなのです。
テレビシリーズや原作を知っている人はご存知の通り、この『幼女戦記』、幼女という名がつくし、愛くるしい金髪幼女が主人公なものの、何しろ世界観がヘヴィー。マジメに戦争やってます。

音響監督は『ガルパン』と同じ岩浪美和だけあって、その爆撃音、爆発の中に混ざる鉄の音、流れる血液、まさに「鉄血」という言葉がイメージされる戦場を音の力で表現せしめています。

いまもテレビアニメで空戦が出てくるアニメやっているけど、なんていうか、「アニメで見たい空戦」って、飛行機の(軽く見えがちな)動きだけじゃ物足りなくて、人間の体が空を舞って銃を撃ったり切ったり貼ったりをするこの映画のようなもののほうが、観客が受け取る興奮としては近いものがあったんじゃないかなあ。
ガルパン』だって最初は割と行進間射撃がどうのとかマジメに戦車戦やってたけど、おもしろいのは結局劇場版のハイパーパンツァーバトル状態なわけだし。リアリティーは大事で、リアリティーがないとフィクションはおもしろくないんだけど、リアリティーを保ったまま威勢よく嘘をつくべきですね。

それにしても本作の、油断しきった敵軍をバカにして敵国首都を蹂躙し、自国の旗をはためかせる高揚たるや。凱歌の興奮たるや。
押し寄せる人海と爆撃機と戦闘機の恐ろしさたるや。
絶望的な状況下で届いた司令部の命令が「うーんドンマイ、まぁガンバ(^o^)」(意訳)だったときの失望と悲憤たるや。

彼我の戦力差は最大限楽観的に見積もって5倍以上。

今回のボスであるメアリーは、とある事情でターニャと類似の「加護」を三重に受けている存在。

そんな彼女が父をターニャに殺されたのだと知り、目を三角にしてターニャを滅殺せんとする。

これは詰みましたね…。

そこで描かれる空戦、白兵戦(空中肉弾戦)の作画がすばらしいこと!
ほとんど銃剣を握ったドラゴンボール!!

そうです、この映画は、幼女の皮をかぶった悪魔が主人公であるとおり、幼女の皮をかぶった戦争映画でありドラゴンボールなのです。

少し主人公の性格に触れておくと、冷徹な畜生です。元々はリストラを言い渡す係をやってきただけあり、ひたすら(自分流の)論理的で理知的であり、他人の心情なんか知ったこっちゃねえというスタンスの人で、倒した敵兵がいい銃を持っていたら「おっいい銃持ってんじゃん」と奪ってしまうようなタイプ。

他人の気持ちがわからない…わかろうとしない上に、戦場(仕事)に感情を持ち込むなんて最低のことだと考えている。

見た目は天使のような可愛らしさなのに、中身がぐうの音も出ない畜生であるというところにこの作品のおもしろさがあって、だからこそ、その畜生的思考で無双していくのにも一種のビカレスク的快感があるし、逆に、その思惑とは逆にしくじってしまうときにも、いっそ「ざまぁ」という爽快感が観客に生まれる(主人公なのに…)。

概要のところに書き忘れていたけど、ただしくは「チートのような力を使って無双する、ただし、何故か結末は全く彼女の思い通りにいかない」のです。

今回の劇場版でもそのようになりますので、アンチ少佐派も安心。

音響がよかったのでもう一回くらい映画館に観に行きたい。

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