明日はもうすこしマシにします

日記のブログです。ヤフーブログから引っ越したので過去記事には不具合があるかも(2019年10月)。見たり読んだりししたものや考えたりしたことを忘れないうちにメモっておこうというもの。ヤクルトファン。

能登島の焼き牡蠣

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取材で石川県七尾市へいったついでに少し足を伸ばして能登島までいってきました。
といっても島の中央部にある水族館などは全然行かずにちょっと島に入ってすぐ帰ってきたんですが。
画像は島の入り口にある人数カウンター。
この島へ入ったものは全てこのカウンターでチェック&管理されているのだ!

なんとなく『ぼくらの勇気 未満都市』を思い出させる(懐かしい…)。

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能登島大橋を渡ってすぐのところにある休憩所のような場所を発見。
広い駐車場に地図や公衆トイレがあり
お店の看板には大きく浜焼きとかなんだのと書いてあって美味しそう。

近づいて見てみると…

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(ちょっと見づらいけど)な、なんだと…!
焼き牡蠣が一個100円……!?

食べ物の取材後だったので
本当は食べる気はなかったんだけれども
この破格のお値段と
なんというか島に入った高揚感というようなものがありフラフラと入店。

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お店の前にはカキの貝殻が一斗缶やプラスチックの樽に入れられて山のように積み上げられている。
コレを見ただけでもなにか、
食べるところで食べれば高級食材であるカキがいかにもありふれた食材のように無造作に扱われているようで
期待感に胸は膨らみ腹は減る。

中に入ると横に細長い店内におばちゃんの店員が2~3人。
テーブルは会議に使うような長テーブル。
イスは長年の使用に耐えてきたというような風情の丸椅子。
店の奥にはまだ明るいのにお酒を飲んで赤ら顔をしながら方言のダミ声を張り上げているお爺さんたち。

どれをとっても「島の食堂」という風情でうれしくなる。

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そしてこれが焼き牡蠣だぁー!
一個100円だからこれでなんと200円!!

注文するとひとつずつお店の人が炭火の台でジリジリと焼いてくれて
時間はかかるんだけれども台の前で古い月刊マガジンなどを読みながら
立ち上がってくる磯の香りに鼻と腹を鳴らしながら待つのもやはり期待感が高まっていいものです。

この皿が200円ですよ!
東京の小洒落た和風居酒屋で「能登産 焼き岩牡蠣の炭火焼」なんて注文しようものなら2個で800円くらい取られてしまいそう。

なんということでしょう。
それが1個100円で!
2個で200円で!

ちなみに1000円出すと11個食べられるようです(お得)。
普通一人ではそんなに食べられないけれどもお酒があればペロリといけちゃいそうでもある。

さらに…

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カキごはん(300円)も頼んで合わせて500円!
この牡蠣づくしがワンコインで食べられちゃうなんて、他じゃとても考えられませんな。

味は結論から言うとうまかった。
殻のついたカキをそのまま炭火で炙り焼きにしてもらって食べる島ってな
シチュエーションで食べるカキがまずかろうはずがない。
ピーナッツでもなんでも「殻付き」って美味しく感じるよね。

そうして結論から本論へさかのぼって味に関して言うと。

カキってのはそのそれが海の中でまだ生息している頃の様子を想像すると
海の底の岩だか石だかわからない様なところに
固く複雑な形の殻を岩と同化させてじっと身を潜めていて
よほど熟練した海女やダイバーや捕食者でない限り一目で岩とカキとを区別するのは難しい。
海の底の一部分になりきっている。

その岩のように硬い殻を無理矢理にひらいてむき身にした本体は
とても殻の外観からは想像もできないような白く艶かしいつやつやとした光沢を持っていて優美さすら感じられる。

そうして食卓に供されたカキの
白磁のように優美な輝きを持つな身を一息に口の中にすすり入れると
潮の香りが口いっぱいに広がって
口の中から溢れでた唾液と海に溺れていって
そのまま全身が海の中に沈んでいるかのような錯覚に陥る。

口の中で一口噛み、二口噛んでいるうちに
カキの柔らかな身はあっという間に消えて
濃厚な甘みと旨味の余韻を残してふいとなくなってしまう。
そうして口の中にカキが無くなって初めて「ああ陸上に居るのだった」とようやく思い出すような味わいである。

その味わいはやはり塩気があり海そのものを思い出させる芳醇なもので
海の欠片を食べているのだ、などと詩的なことを思ってしまう。

車で来てるのに日本酒が飲みたくなるのが難点と言えば難点だが。



…というね。
吉田健一チックな描写をしたくなったのでしてみました。
『酒・肴・酒』ってエッセイの食べ物描写がスッゲー美味しそうなんスよ。
面白かったのでこの本に関してはまた改めて書きたい。

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お帰りもこちら「能登島大橋」から。
砺波からは車で2時間弱?くらい。
高岡~氷見北まで高速道路の無料区間を駆使しての時間です。

山の道から行くより海沿いの道から行ったほうが楽です。